先週末の米国株高を受けた週明けの日本株市場ですが、日経平均は買い先行もの伸び悩み、小幅高で取り引きを終えております。日経平均は戻りの鈍さが継続しており、2月高値以降は緩やかな下落トレンドが継続。
5月決算発表シーズン通過後の日経平均EPSは、1300円付近から2000円付近まで回復(時価総額加重平均ベース)し、予想PERは21倍台から14倍台まで低下したことで、時価29000円は決して割高ではなくなってきました。
しかし、株価の戻りは欧米市場から出遅れており、ここ数週間のうちにアジア株全般が見直されている流れからも取り残され厳しい展開となっております。
日経平均は2月高値以降、国内におけるワクチン普及の遅れが意識され、新年度入りからは日銀ETF買いが止まり、海外投資家の買いも入りにくい状態が続いております。しかし、ここにきて国内ワクチン接種の普及率が急速に上がっている点は、海外投資家の関心も高まっている様子が窺えます。
「日銀頼み」が欠け、「海外投資家頼み」の日本株ですが、ワクチン普及加速に伴う海外勢の買いによる出遅れ修正は起きるのか、今後注目されます。
米国市場では先週末の米雇用統計において、非農業部門雇用者数が前月比55万9000人増加と事前予想の65万人を下回ったものの、想定内弱めの着地で、「テーパリング議論再燃」は回避された格好。想定以下とは言え、55万人増は決して悪い数字ではなく、ワクチン普及に伴うパンデミック収束しつつあることを背景に、景気回復の流れを示唆する内容です。
FRBが重視する「雇用の回復」が強すぎれば、テーパリング、金利上昇、インフレ懸念が再燃しかねないので、強すぎず弱すぎずの景気回復が、株式買い戻しを誘った印象があります。
ただ、今週は10日に米消費者物価指数(CPI)や来週はFOMCなど、株式市場に大きな影響を与える今後の金融政策を見極めるイベントが控えていることで、引き続く指数は膠着した展開が想定されます。この流れは日経平均の動きにも連動すると見ております。
一方で、先週は安値圏で取り引きを終えたマザーズですが、今日は買い戻しの動きで個別株物色へ短期資金が流れております。
6月10日からのIPOラッシュを控えていることで出来高は低調ですが、IPO換金売りに伴う新興市場への資金還流が期待されます。今週末以降、新興市場に新たな流れ出来るのか、中小型株の選別物色の動きについても注目されます。