キャリア(6198)
10月4日前場9:11時点の株価は719円(-32円)となっております。
キャリア(6198)は8月に弊社有料レポートでも取り上げた経緯から、先週から急に問い合わせが増えてきたこともあり、今後の見通しやポイントについて記事にしました。
キャリア(6198)はマザーズ上場の時価総額64億円規模の超小型株であり、値動きの軽い銘柄として投機性の強さも魅力的な銘柄です。株価は9月10日に高値1010円を示現後、急速に値幅を消す展開となりましたが、最近は700円付近で下げ渋る動きを見せており、足元の値動きに調整一巡の兆しが出てきていることから、今後の展開に注目が集まる局面を迎えております。
キャリア(6198)は介護・医療系の人材派遣会社です。今年5月の時点で、防衛省主催の大規模接種センターへの常時看護師200名の派遣事業の受託を発表しており、「ワクチン特需」を手掛かりに株価が急騰してきた背景があります。
弊社有料レポートでは、投機性の強い低位株として8月に400円台で配信した銘柄でもあり、配信当時は「夏枯れ相場」の影響で、かなり安値圏まで売り叩かれていた状況から、見直し余地の大きさにも注目して取り上げた経緯があります。
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※キャリア(6198)の日足チャート
株価は9月後半からの調整で、高値から30%程度値を下げましたが、700円付近での押し目買いにサポートされ、足元では底堅く推移。一時は25日移動平均との上方乖離が30%以上に達した時期もありましたが、現状はほぼ解消されつつあります。
目先の注目ポイントとしては、ボリンジャーバンド(25日)+1σを上へ抜けるかどうかが、今後の相場の大きなカギになると考えております。5月急騰後の値動きにおいては、この+1σを抜けずにその後失速した経緯から、短期需給の面からも、今後+1σ上へ突破する様であれば、かなりポジティブな相場が期待されます。
しかし、その反面同水準では戻り売り圧力が強くなることが想定され、今後上へ抜けるかどうかは見極めが難しい状況にあると見ております。
その背景に、同社株急騰の材料となった「ワクチン特需」は、第3四半期(21年6-9月期)以降の業績に好影響をもたらしておりますが、その恩恵がいつまで続くのかが不透明な点にあります。コロナを取り巻く状況は流動的で、1年先がどのような状況にあるのか予想は難しく、今後の特需剥落の懸念は拭えません。
株価は未来を織り込む性質があることから、9月の急騰でこの先一年程度までの「特需の恩恵」はある程度織り込んだ印象があり、材料性としては魅力に欠け脆弱。「脱炭素」や「DX」といったテーマ性などの様に、長期目線で国策の恩恵が見込まれる銘柄群とは異なる点には留意しておく必要があります。
また、足元の主立った物色を見ると、観光や航空株など「脱コロナ」関連へ資金が流れている様子から、この手のwithコロナ関連へは短期資金が向かい難い背景もあります。
この先第六波への懸念が高まる状況になったり、ワクチン“3回目接種”実施への機運が高まったりと、今後株価を刺激する要素はあるものの、現時点では、海外においてワクチン“3回目接種”は重症化リスクの高い人に限定する議論が進んでいる状況から、材料性としては脆弱な印象があります。
ただ、目先的に地合いが改善し、マザーズ市場における個人投資家の動きが活発化する様であれば、短期目線での物色余地はあるかもしれません。しかし、このケースでも9/10高値である1010円は相当厚い壁になるものと見ております。