新年相場となった先週(~1/7)の株式市場は、米FRBによる想定以上のタカ派姿勢を受け、FOMC議事録発表後にマーケットが急変。市場が想定している以上に利上げが進むことをマーケットは嫌い、特に金利上昇の影響を受けやすいハイテクグロース株に売り圧力が集中。日経平均は5週ぶりに下落に転じた。
一方で、金利上昇インフレ局面で、成長性が低くともインフレに強い実体資産を保有する企業や、低PBR高配当株へ資金がシフトする流れが強まっております。
先週(~1/7)の各市場の動き (週間騰落率)
<国内市場>
日経平均株価 28,478.56 -1.09%
TOPIX 1,995.68 +0.17%
東証二部 7,573.92 -0.64%
JASDAQ 171.54 -2.91%
マザーズ 883.15 -10.61%
ドル/円 115.54 +0.40%
<アジア市場>
上海総合指数 3,579.54 -1.65%
香港ハンセン 23,493.38 +0.41%
韓国総合株価指数 2,954.89 -0.76%
<米国市場>
S&P500 4,677.02 -1.87%
NASDAQ総合 14,935.9 -4.53%
NYダウ 36,231.66 -0.29%
シカゴVIX 18.76 +8.94%
<欧州>
ユーロ・ストックス50 4,305.83 +0.17%
独DAX 15,947.74 +0.40%
英FTSE100 7,485.28 +1.36%
仏CAC40 7,219.48 +0.93%
<その他>
WTI原油 78.89 +4.89%
NY金 1,796.25 -1.77%
米10年債利回り 1.765 +16.75%
BTC/円 4,812,556 +11.59%
この週は、米国株式の急変を受けて日本株も波乱の展開となりました。日経平均は週序盤こそ上昇で始まりましたが、米株の急変を受けて、その後は失速しております。日経平均は週間で-1.09%の下落、マザーズ指数は-10.61%と下げがきつい状況。一方で、バリュー比率の高いTOPIXは小幅ながら上昇(+0.17%)して取引を終えております。
※日経平均の日足チャート
※マザーズ指数の日足チャート
グロース売りバリュー買いに伴うポジションローテーションの動きが加速したことで、これまで主要株価指数をけん引してきたグロース株が大きく売られる展開となっておりますが、リスクオフの急落で、「株はなんでも売られる」という急落局面とは異なります。
株価の急落に合わせて、債券も買われる(金利低下)場面であれば、株式市場に急落リスクが高まりますが、今はまだ長期債が売られて(金利上昇)いる為、現時点では急落リスクが高まる局面には至っておりません。シカゴVIX(恐怖指数)がそれ程大きく上昇していないことからも、この様子が窺えます。
金融市場では、米金融当局が3月に利上げを開始(昨年末時点では6月利上げ開始を予想)するとの見方が急速に強まっており、今はこれを織り込む動きが加速しております。緩和から引き締めに前向きであることは、景気回復が順調に進んでいることを表していると同時に、引き締めを急ぐ姿勢は、米金融当局の「高インフレ」に対する警戒感が高まっている様子も感じられます。
グロース株の指数への影響度の大きい米国株は軒並み下落となっておりますが、欧州市場はバリュー選好の流れから上昇する市場が目立っております。この様子から、米国株よりもバリュー比率の高い日本株の下落が大きくなっている点はやや気掛かりです。
日本は欧米と比べてコロナ禍からの景気回復が遅れている背景から日本株へは買いが入り難い側面があるように思われます。国内では、過去最高水準の新規感染者数が出るなど、オミクロン株に対する不安が高まっております。新型コロナ対策をめぐり、沖縄、山口、広島の3県に今日から「まん延防止措置」が適用されており、景気回復の遅れが懸念されます。
このような背景から、今週も不安定な地合いを強いられそうですが、目先は金利動向を睨みつつ今週は12日に公表される米消費者物価指数(CPI)や、1月25~26日に予定されている今年最初のFOMCに向けて金融政策への関心が高まる為、引き続き、世界的にグロース売りバリュー買いの流れが続くと見ております。
高配当低PBR銘柄などのバリュー(割安)株のパフォーマンスが、グロース(成長)株を上回る展開を想定。難しい局面ですが、バリュー選考の流れを根底に、物色は個別株物色が主体となりそうです。