年始から株式市場は、水準を切り下げる展開が続いております。発端はやはり米国株市場であり、米FRBの金融引き締めに対する議論が進むなか、「引き締めのペース」が市場の最大の関心事となっております。来週は今年最初のFOMCが予定されている為、25~26日の次のFOMCに掛けて、市場はボラティリティの高い展開が続きそうです。
日本ではインフレも金融引き締めも縁がないように思われますが、国内市場の「メインプレーヤー」は海外投資家です。欧米の金融政策が引き締めを加速させるなら、この環境下で動く海外勢の物色ターゲットも「グロースを売りバリュー買い」に舵を切るのも必然な流れといえます。
昨年9月のFOMCからテーパリング(量的緩和の縮小)に現実味を帯びてから早4か月が経過しますが、これまでのFOMCの経緯は以下のようになります。
2021年9月FOMC
→テーパリング開始が近いことを示唆
2021年11月FOMC
→テーパリング開始とペースを決定、2022年6月にテーパリングが終了するとのガイダンス
2021年12月FOMC
→テーパリングの終了を2022年3月へ前出しを示唆、量的引き締め(FRBの保有残高圧縮)にも言及
この流れから、FRBの金融引き締め姿勢が加速している様子が窺えます。ちなみに、リーマンショック後の金融緩和に対する前回の金融引き締め期のスケジュールは以下のようになります。
2014年1月
→テーパリング開始
2015年12月
→利上げ開始
2017年10月
→量的引き締め(FRBの保有残高圧縮)開始
前回の金融引き締めと比べても、今回はかなり速いペースで引き締めが前倒しされている様子が分かります。
金利上昇は企業の収益圧迫要因となりますので、ペースが加速する金融引き締めに対して、今の株式市場は織り込みが上手く進んでいない様子が窺えます。背景に、インフレが40年ぶりの高水準に達していることも、金融政策の先行き不透明感を増幅させている要因と言えます。インフレと金融政策の先行き不透明感が強い現状では、株式は買われ難い状況が続きそうです。
株式市場は、目先的には下げすぎの反動から自律反発も想定されますが、根本的な状況はすぐには変わらないので、この流れは当面続く可能性が高いと見ております。
また、インフレや金融引き締め加速で、足元で金利や株式市場のボラティリティが高まっておりますが、ロシアによるウクライナ侵攻という地政学的リスクが浮上していることも、金融市場に混乱を招いています。
今年の株式市場は昨年の様子とは大きく異なり、現状はとても悪材料に反応しやすい地合いに様変わりしております。指数の動きでは、米国株は既に200日移動平均を意識した展開となっており、今後これを割り込むようなら下げ幅を加速させる懸念が高まると見ております。
これに連動している日経平均も、今後27000円を死守できるかが注視されます。割り込むようなら240000~25000円も想定されると考えており、目先的にそうならないとしても、今年はどこかでこのような展開が起こる可能性は非常に高いと見ております。