週末の米国株はハイテク株売りの加速が全面安へ波及。今週はFOMCに注目

先週の東京市場は28000円台を割り込む波乱の展開となりました。背景には、週後半からNY市場でハイテク株売りが加速したことが大きいでしょう。今年最初のFOMCを翌週に控え、金融引き締めに対する警戒感が高まったほか、ロシアによるウクライナ侵攻が警戒されるなど、地政学的リスクも「重石」となりました。東京市場は引き続き「米国株次第」の動きとなっており、悪材料に反応し易い地合いが続くと見ております。

 

ハイテク株売りは週後半からNASDQ100の下げ幅を拡大しており、なかでも、これまで下げが控えめだったフェイスブックやアマゾン、ネットフリックス、テスラといった優良銘柄への売り圧力が強まっている点が特徴的です。

またハイテク株のみならず、昨年末から見直しの動きが出ていたバリュー株へも売りが波及してきた様子から、「株安の連鎖」の兆しがセクターを問わず見られ始めています。ボラティリティ指数であるシカゴVIX(恐怖指数)は28ポイントまで急騰していることからも、週末にかけて警戒感が高まった様子が窺えます。

 

先週(~1/21)の各市場の動き (週間騰落率)

<国内市場>
日経平均株価  27,522.26 -2.14%
TOPIX  1,927.18 -2.55%
東証二部 7,264.14 -3.10%
JASDAQ 162.40 -3.26%
マザーズ  812.76 -3.79%
ドル/円  113.69 -0.45%

<アジア市場>
上海総合指数  3,522.57 -0.91%
香港ハンセン  24,965.55 +2.39%
韓国総合株価指数  2,834.29 -3.00%

<米国市場>
NYダウ  34,265.37 -4.58%
NASDAQ総合  13,768.9 -7.55%
S&P500  4,397.93 -5.68%
シカゴVIX  28.85 +50.34%

<欧州>
ユーロ・ストックス50  4,229.56 -1.00%
独DAX  15,603.88 -1.76%
英FTSE100  7,494.13 -0.65%
仏CAC40  7,068.59 -1.04%

<その他>
WTI原油  84.84 +1.20%
NY金  1,835.90 +1.11%
米10年債利回り  1.770 -1.28%
BTC/円  3,973,758 -18.73%

 

週間の騰落率ではやはり米国株の下落の大きさが目立ちます。欧州や日本株などは、米国株と比してバリュー株比率が高いことから下げ渋り感があるものの、先週末のNY市場ではバリュー株にも売りが波及していたことを考慮すると、今週序盤は日本や欧州にもまとまった売りが出てくることが想定されます。

現状は、FRBのインフレ退治に絡んだ金融政策に対する不透明感が大きく、ファンダメンタルズよりもモメンタムや需給が下げを主導している印象。米国株に限らず、ハイテク株や仮想通貨、マザーズなど新興市場といったリスクの高いセクターから売られてきた印象が強い相場です。

 

今週は25日~26日のFOMCに向けて緊張が高まることが予想されますが、このイベントを控えた売りは、先週末の米国市場の出来高が急増して下げている様子から、FOMC通過後は一旦ピークアウトする可能性もあり、目先は自律反発の動きが出ても不思議ではないと見ております。しかし、市場の底打ちに対しては「まだはもうなり」という印象が強く、仮に自律反発があったとしても、依然危険な状態は続く可能性が高いと考えております。

 

週明けの東京市場は、週末のNY市場が大きく下落している為売りからのスタートが予想され、今週の日経平均は27000円の攻防を予想しております。21日時点の日経平均の騰落レシオは92.92と、依然底打ちには遠い状況です。引き続き、今後27000円を死守できるかが注視されますが、割り込むようなら240000~25000円も想定されると考えております。目先的にそうならないとしても、今年はどこかでこのような展開が起こる可能性は非常に高いと見ております。

今週はFOMCほか、ハイテク株が下げを主導してきたことから、マイクロソフト、テスラ、アップルといった主要ハイテク銘柄の決算発表にも注目が集まると見ております。