株式市場「悪材料は買い」の局面か?

 

ロシアのウクライナ侵攻では、両国は停戦交渉で合意したものの状況は流動的。週末には強硬姿勢を崩さないロシアに対してG7(主要7か国)は、一部のロシアの銀行に対して国際決済網「SWIFT」からの排除を表明。

国際金融決済網であるSWIFTからの排除は、国境を跨いだ送金ができなくなることから、ロシアが世界経済から完全孤立を意味する。現状はロシアの一部の銀行に限定しているが、西側諸国にとっては制裁の中でも切り札の一つであることに違いありません。

しかしこの制裁は、西側諸国にとっても天然資源が豊富なロシア経済を切り離すことによる大きなダメージを伴います。これを受けた週明けのマーケットは、この影響がどの程度世界経済に及ぶのかを懸念し、今日の東京市場は売りが先行する展開となっております。

ただ、ロシアに対するSWIFT停止は、先週ロシアがウクライナ侵攻を決した際に、マーケットにとっては最悪のシナリオの一つとして予め想定されていた制裁でもあり、先週24日の世界的株価急落時において、ある程度織り込まれていた印象があります。

 

注目すべきは2月24日の急落以降、マーケットに「悪材料は買い」の姿勢が出てきたことです。

マーケットは先週の急落時点で「ウクライナの首都キエフ陥落」を織り込んでおり、その先をイメージしつつあります。今回の戦争が世界経済へ与えた混乱は大きく、3月FOMCにおけるFRBによる利上げ姿勢の後退を織り込む兆しが出てきております。

今相場が織り込んでいるのは、ロシアの侵攻で「FRBがハト的になるのでは?」ということ。

実際に、投資家がFOMCの利上げを予想するCMEの「FedWatch」では、ロシアのウクライナ侵攻前である2月10日時点では、3月FOMCにおける0.5%の利上げを予想する期待値が93.8%まで高まっていたものの、現在(2月25日現在)は24%まで低下しております。

一方0.25%の利上げを見込む割合は、2月10日時点の6.3%から76%(2月25日現在)まで急上昇しております。

 

この流れは、1月からの「ハイテク・グロース株売り」の後退を意味しており、先週後半から米NASDAQやマザーズに見直しの動きが出ている点に注目。

今週の米国市場はまだ開いていませんが、東京市場では日経平均やTOPIXが下げる中、マザーズ指数が大きく続伸していることからも、ハイテク・グロース見直しの様子が見られます。

依然、ウクライナ情勢は不安定ですが、この戦争におけるマーケットの底は先週であった可能性が高く、ハイテク・グロース株や新興市場の見直しに注目する局面と見ております。

故に、今は「悪材料は買い」の姿勢で臨む局面であり、恐らくこの先「買い安心感」が出るころには、既に株式市場はかなりリバウンドが進んだ後なりそうです。乗り遅れに注意を!