第一商品(8746)
3月4日の終値は187円(+15円)となっております
同社は商品先物大手で、金価格の高騰を受け注目が集まっている背景があり、株式市場が世界的に下落するなか逆行高の展開を見せております。
普段は出来高が少ない銘柄ですが、もともと急落相場には強い銘柄で、2020年2月にもコロナショックによる世界同時株安の際にも有料レポートで取り上げた経緯のある「リスク・オフ」と相性の良い銘柄です。
ちなみに今回の相場では、弊社有料ポートにて1月の米国市場がハイテク売りで安値を付けに行く局面において、「リスク・オフ」銘柄として120円台で配信した経緯があります。
※第一商品(8746)の日足チャート
先週は日足が200日移動平均を試す局面を迎えており、週末はこれを突破して取引を終えております。まだ同ラインを完全に抜き切れたかどうかは、目先の動きを見極める必要がありますが、陽線を形成する際に出来高が大きく膨らんでいる様子から、戻り売りを新規の買いが上回っている需給状態であることが窺えます。この為、先行きはポジティブに見ております。RSIは70付近と過熱気味で、短期目線は少し警戒感はありますが、この銘柄においては過去に80を突破することは珍しくない銘柄です。
商品市況のなかでも、原油や小麦などウクライナ及びロシアが主要生産国となっている品目は理性を失った高騰ぶりを見せており、急落リスクをはらみますが、これに対し金価格は理性的な上昇となっている点も好感できます。
地政学リスク及びインフレを背景とした、安全資産である「金」の安定上昇が予想される現状は、金価格と連動性のある第一商品(8746)においても、今後の動きが注目される相場であると考えております。
ちなみに2020年コロナショックで世界的な株価急落となった際には、2月の株価急落以降の金価格上昇は、乱高下を交えつつ8月まで上値を追う展開となりましたが、同社株価は5月後半で天井を打っていることから、必ずしも金価格と一致するわけではありません。この当時は、第一商品(8746)が時価総額も小さな個別株故に、先行して上値を追いに拍車が掛かった経緯から、天井を打つのが金相場よりも早くなったものと分析しております。
そもそも流動性自体が世界的な資産クラスである金とは規模が異なりますので、時価総額の小さな小型株である第一商品(8746)においては、金価格の上昇よりも先取り・先読みして先行した動きとなる点は頭の中に入れておく必要があるでしょう。
また、現状は「リスク資産(株)を売って、安全資産(金)を買う流れ」に沿っておりますが、株安も度を過ぎるとマージンコール(追加証拠金の要求に伴うドル資金不足)の嵐に巻き込まれる可能性がある点にも注意が必要です。
2020年の3月には株安の行き過ぎで、金融市場はドル不足に陥り、株や商品などあらゆる資産クラスが一斉に売られる局面がありました。この当時は金相場も急落しましたが、同社株においては急騰後に一時的な大暴落(下落率70%)となる場面がありました。足元の株安は、まだこの領域に達していませんが、今後訪れる可能性が少なからずある点には留意しておく必要があるでしょう。