米FOMCを控えGW中の海外市場は大荒れ。今週の見通しは?

 

先週末4月29日の米国市場はS&P500、NASDAQ、ダウの主要3指数が揃って大幅安の展開。ダウが900ドルを超す下落となったほか、シカゴのCME日経平均先物は26,745円取引を終えております。

特に下げ幅が大きかったのは、テック株比率の高いNASDAQで、この日は4%を超す下落。この指数は既に3月安値を下回っており、年初来安値を更新中です。S&P500については2-3月安値付近まで下げております。

 

※NYダウの日足チャート

 

 

※S&P500の日足チャート

 

 

※NASDAQ100の日足チャート

 

 

ハイテク比率の低いNYダウや日経平均は、依然2-3月安値からそれぞれ2.2%、8.7%程上方で推移しておりますが、米国株との連動性が高まっていることから、目先はこれらの指数も安値を試しに行く可能性がある点には注意が必要でしょう。

日経平均が米国株ほど下げていない背景として、急激な「円安」があります。円建てベースでは比較的に底堅く見える日経平均ですが、ドル建て日経平均(日経平均÷ドル円)は3月安値を大きく割り込んでおり、海外投資家目線では、既に年初来安値を更新しております。

 

※日経平均の日足チャート

 

 

※ドル建て日経平均の日足チャート

 

今週の国内市場は大型連休の為、立会日は5月2日と6日の2営業日のみ。この間、海外では金融市場を大きく動かす可能性のある重要イベントが相次ぎます。

特に注意したいのは4日の米FOMC後に行われるパウエルFRB議長の記者会見と、6日の米雇用統計。

 

どちらもFRBの金融政策に影響を与えるイベントである為、内容次第で相場が大きく変動する可能性があります。既に米国市場はFOMCを控えて警戒感が高い状態にあり、シカゴVIX(恐怖指数)は3月中旬以来の30ポイント台で推移しております。

 

3月中旬といえば、株式市場が底打ちしたタイミングにもあたり、3月15日の前回FOMCを境に株式市場は底となった経緯があります。

今回も類似した相場展開となっているだけに、FOMC通過後はリスクイベントの消化で買い安心感が台頭する可能性があります。しかし、3月と異なるリスク要因として、中国で新型コロナウィルスの感染拡大に伴うロックダウン(上海、北京)の長期化があります。中国国内では、これまでにないほど厳しい措置だが敷かれており、経済に与える影響が深刻化しております。

 

多国籍企業の多くが中国に工場を置いているほか、上海にはコンテナの取扱量では世界トップの上海港があります。西側諸国の「中国離れ」が進んでいる昨今ですが、世界経済が中国のサプライチェーンに依存する構図は、コロナ前とあまり変わっていません。

この為、サプライチェーンの停滞はインフレ加速要因にもなる為、ロックダウン長期による工場停止や輸送停滞による海外の経済への打撃が懸念されます。

 

株式市場は、目先的には短期的な下げ過ぎの反動はあるかもしれませんが、そのまま3月のように戻り局面に突入出来るかは疑問が残ります。目先下げ過ぎによるリバウンドが出ても、自律反発の域を出ない可能性には注意が必要かと見ております。