NY株式市場は年初来安値を更新。世界的株安が加速

 

週末のNY株式市場は年初来安値を更新。今週は6月安値水準で下げ止まりの気配も見られた米国株ですが、結局割り込んで取引を終えています。

NYダウはこの2営業日で1000ドルの下げ幅を記録。背景には世界的インフレと株安の連鎖があり、景気の先行き不安とFRBの引き締め政策がどこまで進むのか、先が見えないことに対する恐怖心が根底にあります。

 

この米国市場の動きは、週明けの東京市場にも大きな影響を与えそうです。

 

※ NYダウの日足チャート

 

今年は下げ局面の多い相場が続いていますが、今回の下げは特に大きな下落幅を記録する可能性があります。

9月以降の下落は、今年3月安値に向けた下落局面、6月安値に向けた下落局面に次ぐ、三段下げの局面を迎えています。経験則から三段目の下げは、下げ幅がかなり大きくなる傾向があります。

 

一方、歴史的に米国株市場は10月頃に底打ちをし、年末に向けて上昇する傾向があります。

足元の下落は先行きの見えない恐怖心による下落の為、ある程度下げたら現状の企業業績に対して割安感が出てきます。恐怖心による下落はスピードも速い為、行き過ぎた下落に対しては、その後見直しの動きが出てきます。

 

この為、10月相場は「当面の底」を打ちに行く動きを想定しています。

今年の相場の特徴は「荒れる場面」と「回復局面」のメリハリがはっきりしています。これを踏まえ、投資家は10月底打ちを意識した準備が必要な局面と考えています。

 

世界的インフレと株安の中、日本株の状況はどうでしょうか。

日経平均株価の今年の安値は3月9日に付けた24681.74円ですが、急激な円安の影響から、その後は25000円台中央付近から29000円台前半で推移しています。

 

※ 日経平均の日足チャート

 

先週末の米国株安の影響から、目先は6月安(25520.23円)を試す展開が予想されますが、これを割り込むのは時間の問題と見ています。今後の円安の進み具合にもよりますが、足元の下落で3月安値を試しに行く展開も、十分あり得ると見ています。

 

日経平均は8月17日の高値以降、下落トレンドが鮮明となっていますが、現在の騰落レシオ(25日)は80.76。急落から底打ちに向けた過去の下落相場では、この騰落レシオが70割れまで下げるケースが多く、現状は依然底打ちには遠い状況と見ています。

 

また、米国株市場との連動性が高いことから、シカゴVIX指数(恐怖指数)の動きにも注目。

週末のVIXは30.62ポイントで取引を終えていますが、過去の底打ち局面では40ポイント台以上に跳ね上がるケースが目立ちます。この為、恐怖指数は今の水準からまだまだ上昇余地があると見ています。

相場の底打ち局面では投資家の恐怖心がピークに達しますので、株価は下げ足を加速する傾向があります。この為、値幅においても大きく下げてくる余地があると見ています。

 

今はインフレと利上げに焦点が集まっていますが、「利上げ=消費や投資などの経済活動を抑制させる政策」ですので、利上げの先に見える「景気後退(リセッション)」に対する懸念に、投資家の関心がシフトしている点に注意が必要です。

また、足元のインフレマインド(米国民のインフレ心理)の定着が進むことは、消費抑制を促し、世界景気の後退につながる可能性を秘めています。この様な見地から、企業業績を元に動く株式市場の先行きに明るさは見えません。

 

しかし一方で、今年の特徴は「荒れる場面」と「回復局面」と、メリハリのある相場展開が続いています。

このパターンから、今年3度目の急落が一巡した後は、年末に掛けて戻り局面を想定。株価の下落が現状の企業業績に対して強い割安感が出てくる場面では、投資家は「下げ過ぎ」を意識し始めますので、そこからリバウンドの兆しが見えてくると考えており、投資家は今から目先底へ向けた買いの備えが必要。

また、このような暗い相場環境が続く中では、先行きに「光」の見える銘柄が先行され易く、短期資金が向かうのは必然。全体ではなく個別にフォーカスする地合いが続くと見ています。