年初から急ピッチな上昇が続いた株式市場ですが、ここ数日の日経平均やマザーズ指数といった指数の動きは足踏み。今の値動から、急ピッチな上昇に対する警戒感が出てきている様子が見て取れます。
年初からの株価上昇の要因は、主に2点
①米国株の上昇
②日銀の政策修正(利上げ)トーンが後退
① 米国株の上昇については、FRBの利上げペースを減速への期待感が根底にあります。
米国内ではインフレ鈍化の兆しが鮮明で、発表されている経済指標も景気減速を示唆するものの、マーケットの想定内の範囲。
先週発表された米12月米PCE価格指数(個人消費支出)では、個人消費支出は前月比0.2%減と1年3カ月ぶり低い伸びとなる一方、1月の米ミシガン大学消費者態度指数確報値は64.9と速報値から上方修正。また、米GDP(22年第4四半期)が市場予想を上回るなど、市場の事前予想よりも底堅さが見られます。
昨年は景気が好調のなか、インフレ率の上昇に伴いFRBの利上げ政策が加速。これを受け、企業業績の悪化や景気後退を見込んで株式市場は弱気相場となりました。
しかし、現在は景気減速が数値になって表れるなか、インフレ鈍化の兆候を受け、FRBの利上げペースを減速への期待感が浮上しています。
既に景気減速を織り込む相場は昨年の大幅な株価下落に織り込まれてきたわけで、今後は利上げペースを減速期待から、企業業績の底打ち→回復へ向けた期待感が株価の下支えとなりつつあります。
未来が実際にはどうなるかわかりませんが、株式市場は未来を織り込む特性があります。昨年の弱気相場がそうであったように、今は想定し得る一年後の経済を織り込む動きと捉える必要があります。
②日銀の政策修正(利上げ)トーンが後退
日本国内のインフレは依然鈍化していないものの、欧米諸国から遅れて物価上昇が始まったことから、インフレの根源は外部要因に依るところが大きい。欧米のインフレがピークアウトするならば、日本国内のインフレもいずれ鎮静化する見通しが強いと見ています。
昨年12月に突然発表された日銀の政策修正は、市場を大きく揺さぶりましたが、1月の日銀会合を受けて拙速な利上げに対する恐怖が後退。
依然円高への警戒感や先行き不透明感は残りますが、コロナ禍以降は欧米景気に遅れた過程を辿ってきたことから、株式市場の方向性も、欧米市場と連動した動きが続くと見ています。
短期目線では、足元の急ピッチな上昇に対する反動も出てくる可能性もありますが、今年は年間を通しては上昇基調が続く見通し。この為、目先は下押す場面があれば買いの好機と見ています。
また、今の市場のムードも強気一辺倒でないあたりに、買い安心感があります。これが強気一辺倒であれば、投資家は戻り天井を意識する必要があるでしょう。今は「懐疑の中で育つ」相場展開をイメージ。