GW中の米国市場の動きと今後の投資スタンス

金融マーケット全体の動向を理解することは、個別株投資の投資戦略を練る上で不可欠です。株価変動のメカニズムには内部要因と外部要因があり、景気の動向、経済、政治、産業、国際情勢、為替、金融政策、など多岐にわたる要素が相互に影響を及ぼしながら投資家心理に影響を与えています。したがって、個別株投資する際には、これらの要因を考慮に入れ、マーケット全体の投資家心理とマネーの流れを把握することが、機会を最大限に活用すること及びリスク管理する上で、非常に重要な要素となります。

 

 

連休中の米国株市場は4月19日の安値から戻りを試す展開が続いている。FOMCや米雇用統計など重要イベントはあったものの、4月の下落がこれらイベントに向けた警戒感から下落してきたことを思うと、現状は買い易い局面と言えます。

また、連休中は円相場も大きく動いており、連休直前の154円台→160円(4月29日)→151円(5月3日)と乱高下した。連休中の乱高下で、日本政府がドル売り・円買い介入を再開したと観測されていますが、介入効果については一時的なものにとどまる可能性が高い為、円安トレンドは続くと認識しておくべきでしょう。基本的に行き過ぎた円安は日本経済にも日本株にも悪影響があると考えています。

 

※S&P500指数の日足

 

4月の株価下落は、利下げ期待の後退が背景にあり、中東情勢の緊迫化がボラティリティを高めたことが要因と考えていますが、昨年秋から始まった株高基調はまだ継続すると考えています。しかし、数ヶ月おきに今回のような調整局面が訪れるのは、適正な動きと言えます。

今はまだ株高の流れの中の一時的な調整局面ですので、基本的に足元の調整は買い場と認識しています。ただ、現在米国株式は戻りを試しているものの、4月19日の安値で底を打ったかどうかは、金融市場の中で明確な底打ちサインが乏しく、まだ判断は難しい局面です。

 

なぜ中期目線で、米株の上昇基調が続くと考えているかと言えば、それは米金融政策の値下げ期待が後退したからと言って、基本的にFRBの政策方針は変わっていないからです。

4月の米経済指標では根強いインフレが示されるケースが目立ちましたが、FRBの政策の方向性自体を大きく変える程のものではありません。インフレは徐々に緩んできてはいるものの、未だに利下げの時期等を決定づける手掛かりには不足しており、先行きを見通すと現状は非常に曖昧な状況です。

この「非常に曖昧な状況」が投資家にとっては期待感にもなっています。そして株価は「期待感」で上昇するもので、はっきりした事実が確認されるタイミングが、相場の織り込み済み天井となります。

 

一方、日本株に対する注意点として、米国株が上昇する可能性が高いからと言って、これまでのように日本株もこの動きに追随するかどうかはわかりません。

米国株が上昇すると、その好況が日本株にも波及することが期待されますが、必ずしも一致するわけではありません。実際、米国株が上昇している間に日本株が下落するケースは少ないものの、日本株が方向感なくもみ合う展開を見せたり、米国株に比べてパフォーマンスが大きく後れを取ったりすることは珍しくないからです。

このように考える背景として、利上げに向かう日銀と利下げへ向かう欧米諸国の金融政策との政策格差があります。加えて、足元で再び強まる円安基調があります。円安は輸出企業にとっては有利な状況をもたらす一方で、海外投資家が日本株に投資する際の為替リスクを高めるため、投資意欲を減退させる可能性があります。東証の投資家比率がおよそ7割と言われている海外投資家が、日本株に投資することを躊躇させる要因として頭の片隅に置いておく必要があるでしょう。