日経平均の弱さから読み解く、金融政策の格差と市場の動向

金融マーケット全体の動向を理解することは、個別株投資の投資戦略を練る上で不可欠です。株価変動のメカニズムには内部要因と外部要因があり、景気の動向、経済、政治、産業、国際情勢、為替、金融政策、など多岐にわたる要素が相互に影響を及ぼしながら投資家心理に影響を与えています。したがって、個別株投資する際には、これらの要因を考慮に入れ、マーケット全体の投資家心理とマネーの流れを把握することが、機会を最大限に活用すること及びリスク管理する上で、非常に重要な要素となります。 

 

今週の株式市場は、日経平均が週間で小幅反落。週末にかけて米国株が軟調に推移していることで、日本株へも売りが波及した格好。今週は日本の長期金利が2013年以来の1%を超えて推移するなど、日銀が5月13日に国債の買い入れを減額して以降、長期金利の上昇傾向が続いています。利上げ(引き締め)に向かう日銀と、利下げ(緩和)へ向かう欧米諸国との金融政策の格差が、日経平均のパフォーマンスの悪さに表れています。

 

米国株の上昇基調が続く間は、日経平均の上値は重いながらも、戻りを試す展開が続くと見ています。この場合、地合いは悪くないため、短期資金は引き続き個別材料株へと流れそうです。足元弱含む場面があれば、買い場となる可能性に注目。

 

※ 日経平均の週足チャート

 

米国市場における最近の動向を見ると、FOMC議事録の発表が投資家の心理に影響を与えたほか、雇用関連指標であるPMIではインフレ圧力が意識され、FRBの利下げ期待が後退。これにより、今週前半まで輝いていた米国株は、後半に息切れを感じさせる展開となっています。エヌビディアの決算は好調でしたが、市場では足元の上昇に対する反動も意識され始めています。

この動きは週末の日本株に限らず、英FTSE100、独DAX指数、香港ハンセン指数、上海総合指数を含む世界の株式市場にも影響を及ぼしています。4月中旬以降の株式市場は、世界的株高の様相を呈しましたが、足元では短期的な過熱感も意識され始めています。

 

※ S&P500の日足チャート

 

米国株は強気相場続きで市場が過熱感を示していたこともあり、昨夜は大きく下げましたが、多くの投資家が「次はどうなるのか?」と、手掛かりを模索しています。しかし、昨夜米国市場で起きた小さなつまずきが、トレンドの終わりを意味するわけではありません。

これは単なる一時的な調整の可能性が高く、これをもって上昇トレンドの終わりと判断するのは尚早です。経済のサイクルは四季の変わり目のように、常に変化し続けますが、次のチャンスを見極めるため、市場のリズムを感じ取ることが重要と考えます。

 

現在、投資家たちはFRB(米連邦準備制度理事会)の政策動向に注目しています。特に、インフレ率が目標の2%に戻る軌道に乗るまでに時間がかかるとの見解がある一方で、年内の利下げ期待も根強く残っています。

時折、強いインフレを示す指標が発表される場面もありますが、基本的にインフレ鈍化傾向は続いています。この「インフレ鈍化傾向」が続いている事実こそ、昨年秋以降の相場に、利下げの期待による株価上昇の風を吹かせ続けています。強いインフレ指標の発表で、市場は一時的に弱気になる場面は今後も出てくると想定されますが、基本的なトレンドは明らかです。