金融マーケット全体の動向を理解することは、個別株投資の投資戦略を練る上で不可欠です。株価変動のメカニズムには内部要因と外部要因があり、景気の動向、経済、政治、産業、国際情勢、為替、金融政策、など多岐にわたる要素が相互に影響を及ぼしながら投資家心理に影響を与えています。したがって、個別株投資する際には、これらの要因を考慮に入れ、マーケット全体の投資家心理とマネーの流れを把握することが、機会を最大限に活用すること及びリスク管理する上で、非常に重要な要素となります。
今週は債券市場で長期金利(10年国債金利)が1.1%まで上昇し、株式市場にも影響を及ぼしました。この金利水準は、2011年7月以来の高水準であり、その背景には東日本大震災と東電福島第一原発事故の影響があります。当時、世界最悪レベルのメルトダウンを起こした事故の直後であり、国債が売られていたことが要因とされています。
金利の上昇は株式市場にとって重要な要素であり、上値を抑える影響を持っています。また、足元の長期金利上昇は日銀の政策に対する警戒感もあり、日経平均に対する上値抑制要因としてしばらく機能しそうです。
※ 日経平均株価の日足チャート
※ TOPIX VALUの日足チャート
今週の日経平均は先週末比158円安(-0.41%)の下落となっていますが、4月初旬から下げ続けていた東証グロース指数は反発に転じています。
また、バリュー株に対する海外投資家の関心が高まっており、TOPIXVALU指数の動向がそれを示しています。この傾向は、米国株の割高感と比較して日本株の割安感が投資家に評価されていることを反映していると考えられます。
一方、米国市場では今週もナスダックが最高値を更新しましたが、30日の米国市場は3日続落となっています。昨夜の第1四半期の米GDP改定値が下方修正され、インフレの鈍化から利下げ期待が強まったにもかかわらず、株式市場は全体的に大きく下げています。
米株が6週間にわたって上昇してきた背景には、AIブームで一部の大型ハイテク主導のラリーがマーケットをけん引してきたことがあります。しかし最近の株価下落は、これらの株の割安感が薄れ、投資家の間でリスク再評価が進んでいることを示しています。
とはいえ、エヌビディアをはじめとするAI関連企業の好決算は、AIブームの中心的存在としての地位を確固たるものにしています。エヌビディアの株価は予想を上回る業績により、今週の株価は過去最高値を更新し、投資家の間での売却動機が薄れているのも事実です。
このため、目先的には過度に膨張した投資家の期待感は、テック株に水準訂正の機会を与えるかもしれないが、このAIブームを根底とする大型ハイテクを買う流れは、大統領選挙が強く意識される夏頃まで続く可能性があります。
ときおり、利下げ期待の後退やテック株バブルで揺れる場面も見られる米国株式市場ですが、大きく崩れる様子が無いのであれば、日本株においても5月中旬以降の地合いが続く可能性があります。
この影響は、投資家の関心が高まりつつある中小型株の材料株物色が続く可能性を示唆しています。今週は多くの銘柄が高値を更新しており、これは、市場全体の動きとは独立して、個別銘柄に対するポジティブな見方が存在することを意味しています。
※有料レポートで配信した銘柄と配信翌日始値からの上昇率
表のようなこれら高値圏の銘柄は、週末掛けて利益確定売りに押されましたが、また新たな投機対象が表れるのも時間の問題と見ています。短期資金は割高な銘柄から割安な銘柄へと流れることが予想され、循環物色のラリーは続くと見ています。
投資家の中でも特に投機性の高い資金は、市場の広範な動向を超えて、個々の銘柄の潜在的な価値を見出そうとしている様子が窺えます。新たな動きが期待される初動段階の銘柄については、詳しくは弊社有料レポートでも取り上げていくことになりそうです。
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