個別株投資では、景気や経済、政治、為替、金融政策など、マーケット全体の動向を把握することが不可欠です。これらの要因は相互に影響し合い、投資家心理や短期マネーの流れに影響を与えています。投資機会を活かすためには、こうした外部環境や市場心理をしっかりと理解することが、物色トレンドを見極めるうえで非常に重要です。
先週(4月15日〜19日)の日本株式市場は、4週ぶりに上昇へ転じる展開となりました。日経平均株価は前週比で1,144円70銭(+3.41%)上昇し、34,730円28銭で取引を終えました。これにより、3月下旬以降の大幅な下落幅の半値戻し水準を明確に上回る動きとなっており、市場には一定の落ち着きが戻りつつあります。
※ 日経平均の日足
この背景には、日米貿易交渉の進展や米中関係の一時的な改善がありました。トランプ大統領による関税強化政策に端を発する世界的な株価急落は、3月中旬以降、世界の主要市場に大きな混乱をもたらしました。しかし4月に入り、トランプ政権が関税の一部適用を90日間延期すると発表したことが市場に安心感をもたらし、株価は反発に転じています。
とはいえ、関税ショックによる株価の急落が完全に一巡したかについては、専門家の間でも意見が分かれています。底入れを示唆する動きが出始めた一方で、企業収益への影響や政策の不透明性などから、慎重な見方を崩さない向きも多く見受けられます。JPMorganなどの大手金融機関は、関税政策が米国経済の成長減速やインフレ圧力を引き起こすリスクを依然として警戒しています。
※ シカゴVIX指数の日足
また、投資家心理を示すシカゴVIX指数(恐怖指数)は引き続き高い水準にあります。今月7日には一時60ポイント付近まで急騰したものの、今週は29.66で週末を迎えています。一時に比べれば大きく低下したものの、これは依然として歴史的な平均値(おおよそ10〜20)を大きく上回っており、市場の不安定さが継続していることを示唆しています。背景には、トランプ政権による通商政策への警戒感や、米中間の貿易摩擦が再燃する可能性が払拭されていないことが挙げられます。
この為、引き続き指数の動きも一時的にボラティリティが高まる場面が想定されます。なお、週末(18日〜20日)にかけては、トランプ大統領による関税政策に関連する新たな動きや、市場に大きな影響を与える発表は見られませんでした。
今週の株式市場は、日経平均株価が35,000円の節目を回復できるかどうかが注目されます。引き続き、トランプ政権の通商政策の行方や米国企業の決算内容が材料視される見通しであり、日本国内でも決算シーズンの本格化に伴い、個別銘柄への選別物色が進むと予想されます。
また、24日には日米財務相会合が開催されると報じられており、ドル円相場の観点からも日経平均を揺さぶる可能性のある注目材料といえるでしょう。関税交渉を含め、来週に進展があった際には、株高に振れる展開も想定されます。一方で、地政学リスクや為替の動向など、不透明要因が引き続き相場の上値を抑える可能性があるため、慎重な投資姿勢が求められる局面が続きそうです。