デルタフライファーマ(4598)
2025年7月4日の終値は722円(+43円)となっています
グロース市場の調整色が強まるなかで、デルタフライファーマ(4598)の株価が5月以降、逆行高の展開を鮮明に見せています。全体として物色の手がかりが乏しいなか、同社の急騰は目を引く存在となっており、行き場を失った短期資金の受け皿として機能している可能性があります。今後もテーマ性と短期需給の両面から、値幅取りを狙う動きが期待されます。
デルタフライは抗がん剤を中心に開発する創薬ベンチャーで、収益こそ未計上ながら、主力候補のDFP-10917が第3相に進んでおり、その他複数のパイプラインが第1〜2相段階にあります。なかでも、急性骨髄性白血病向けの「DFP-10917」は米国で第3相臨床試験中であり、中間解析の終了が近づいています。また、肺がん向け「DFP-14323」、膵がん向け「DFP-17729」もそれぞれ国内で第3相、第2/3相に入っており、成功時のライセンス導出による大型収益が意識されやすい局面です。
また、この銘柄に関しては、弊社の有料レポートで4月後半に450円付近で取り上げた経緯があります。短期的な値幅取りを狙う投機ファンドが、成長期待と見直し余地に注目して取り上げた案件です。その後、投機ファンドの積極的な動きがトレンド形成に大きな役割を果たし、株価上昇を加速させる一因となっています。
特に4月下旬の急騰局面では、板の薄さと浮動株の少なさを突いた投機筋の仕掛け的な買い上がりが確認されており、出来高を伴った初動が、その後の強いトレンドにつながったと見られます。
現在もその流れを引き継ぐ形で、短期資金が回転しやすい地合いが維持されています。こうした仕掛け相場の構図は、テーマ性の明確なバイオ銘柄によく見られる展開であり、デルタフライもその典型と言えます。
※ デルタフライ(4598)の日足
日足に目を向けると、5月以降、株価は200日・75日・25日移動平均線を明確に上抜けており、トレンドの継続が確認されています。最近では出来高も増加傾向にあり、テクニカル面でも市場の注目度が高まっていることがうかがえます。
MACDはゴールデンクロスを維持しており、現状の上昇基調と一致した動きです。RSIは66と高水準にあり、やや過熱気味ながら依然として上昇余地を残しています。ボリンジャーバンドも拡張傾向にあり、短期的には強含みの展開が続く可能性が高いと判断されます。
特に注目すべきは、現時点で調整入りの兆候がまだ明確ではない点です。むしろ、上昇基調が維持されており、今後も強いトレンドが続く可能性があります。ただし、RSIがやや過熱水準に近づいていることから、一時的な押し目や利確売りに備える段階にも差し掛かっている点には注意が必要です。
また、2025年4月に発行された第10回新株予約権は、行使価額が下限244円に設定されており、最大で約10.7億円の資金調達が可能とされています。
このスキームは、新株予約権の行使による資金で社債の償還を優先的に行い、その後、残余資金を臨床開発費に充てる構造です。希薄化リスクは存在するものの、臨床試験継続や体制強化に直結するため、実質的には前向き材料として市場に受け止められている側面もあります。
現在の地合いでは、東証グロース全体が方向感を失うなかで、個別テーマやストーリーの明確な銘柄への資金集中が顕著です。デルタフライは「売上ゼロ」ながらも臨床成功→ライセンス展開→黒字化という明快な成長ストーリーが存在しており、短期資金による仕掛けが入りやすい構造が整っています。
今後も材料発表や中間解析の進展がタイミングよく出れば、株価は一段高も視野に入る展開となりそうです。もちろん、開発リスクや承認遅延の懸念も残りますが、テーマ性と短期需給を両立する銘柄として、引き続き注目が必要でしょう。
弊社では、個別材料株を取り巻く多様な市場環境を踏まえ、今後の相場展開において有望な短期投資チャンスを的確に捉えることを目指しています。収益機会を最大限に活かすべく、すでに今後急騰が見込まれる銘柄を複数選定し、継続的に動向を注視しています。
また、これまで物色の中心となっていた銘柄とは異なる、新たなテーマや資金の流れに沿った銘柄群が台頭してくる展開も十分に想定されます。こうした短期物色に適した注目銘柄については、今後も弊社の有料レポートにて、詳細な分析とともに取り上げてまいります。