日経平均3週ぶり反発、グロース市場は続落 政治リスクと利下げ期待が交錯するなか、海外投資家の動向に注目

 

先週(9月1日〜5日)の東京株式市場は、米国の金融政策期待と国内政治情勢の不透明感が重なり、やや方向感に欠ける展開となりました。日経平均株価は週前半に41,800円台まで下落したものの、週末5日には43,000円台を回復して取引を終え、3週ぶりの反発となりました。背景には、トランプ米大統領が自動車関税を引き下げる大統領令に署名したことがあり、日本市場にとって好材料となりました。

また、週末に発表された米国8月雇用統計が市場予想を下回ったことで、FRBによる9月利下げ観測が一段と強まり、週末のNY市場全体では買いが優勢となりました。石破首相の辞意表明が9月7日に伝わり、後任は現時点で不透明な状況です。政策方針が見通せない中、総裁選の混乱が長引けば、相場の値動きが大きくなる恐れがあります。

 

日経平均が上昇する一方で、グロース市場250指数は前週比1.8%安の766.63ポイントで引け、3週続落となりました。米国の利下げ期待はグロース株にとって支援材料となるものの、直近は需給バランスの偏りや投資家心理の慎重さが影響し、上値追いは限定的でした。情報・通信やAI関連銘柄などテーマ性の高い一部銘柄への物色は続いているものの、全体としては調整色の強まる展開となっています。

 

今週(9月8日〜12日)は、内閣府による4〜6月期GDP改定値(第二次速報、9月8日発表予定)や、9月11日の企業物価指数(PPI)が注目されます。海外では、9月10日の米国8月消費者物価指数(CPI)や、9月12日の米国小売売上高など主要指標が予定されており、FRBの利下げ観測やECBの政策判断とあわせて、東京市場に影響を与える可能性があります。後任首相の選定や政策方針が早期に明確化されれば市場に安心感が広がる一方、混乱が長引けば相場の不安定化が懸念されます。

これらを踏まえ、海外投資家の反応に注目が集まる中、今週の東京市場は政治リスクと金融政策期待が交錯し、方向感を模索する展開となりそうです。短期的には米国の利下げ期待が下支え要因となる一方、後任首相の政策方針や日銀の対応次第では値動きが大きくなる可能性もあり、引き続き需給動向を慎重に見極める局面です。