世界株安の深層:原油高とホルムズ海峡が握る相場の行方、日本株の現在地

個別株投資では、景気や経済、政治、為替、金融政策など、マーケット全体の動向を把握することが不可欠です。これらの要因は相互に影響し合い、投資家心理や短期マネーの流れに影響を与えています。投資機会を活かすためには、こうした外部環境や市場心理をしっかりと理解することが、物色トレンドを見極めるうえで非常に重要です。

 

【この記事の KEY POINT】

・下落相場の最大要因は原油価格
・中東原油依存度が高い国ほど株式市場の下落が大きい
・原油「供給ショック」はまだ起きていない
・供給ショックの場合、WTIは100ドル超→株式売りが加速
・ホルムズ海峡の航行状況が株式市場の最大の焦点

 

今回の世界株式市場の下落局面を俯瞰すると、最大のテーマは中東情勢の緊迫化に伴う原油価格の上昇です。2月末の軍事衝突以降、原油市場では供給不安が急速に意識され、WTI原油は70ドル台後半まで水準を切り上げました。株式市場はこの動きを強く警戒しており、特に中東原油への依存度が高い国の市場ほど下落が大きくなる傾向が見られます。日本や韓国などエネルギー輸入依存度の高い国では、原油高が企業コストや物価上昇につながるとの見方から株式市場の下げが目立っています。

今回の相場で市場が最も注視しているのは、ホルムズ海峡の航行状況です。世界の海上原油輸送のおよそ2割がこの海峡を通過しており、航行リスクが高まると供給不安は一気に強まります。すでに市場では一定の供給不安を織り込み始めていますが、仮にタンカー航行の停止や輸送量の大幅減少といった事態に発展すれば、供給停止リスクはさらに高まり、株式市場の下げ圧力も強まりやすくなります。

一方で米国株式市場の下落率は比較的限定的です。米国はシェール革命によりエネルギー自給に近い体制を確立しており、原油価格上昇の影響を他国ほど直接的には受けにくい構造にあります。そのため世界株式市場が全面安となる局面でも、米国株は相対的に下げが小さくなる傾向があります。

もっとも原油市場を冷静に見ると、WTI価格は依然として「本格的な供給ショック水準」には達していません。歴史的に供給断絶が意識される局面では、原油価格が100ドル台へと上昇するケースが多く、現在の70ドル台後半は供給不安を織り込み始めた段階と位置付けることができます。現時点で供給ショックが現実化するかどうかは不透明であり、過度に悲観的に見る必要はありません。ただしホルムズ海峡の航行に深刻な支障が生じるなど供給リスクが一段と高まれば、WTIが100ドルを超える展開となる可能性には注意が必要です。その場合、インフレ懸念の再燃を通じて株式市場では売り圧力が強まりやすくなります。

東証市場に目を向けると、当面は指数売りの影響が続く可能性があります。日経平均は大型株の比率が高く、原油高や世界景気減速への警戒が強まる局面では、海外投資家による先物売りやETF売りが出やすい構造です。指数主導の売りが続く間は市場全体がリスクオフの流れとなり、個別材料があっても株価が伸びにくい地合いになりやすい点には注意が必要です。

現在の市場は、供給ショックそのものではなく供給リスクを警戒する段階にあると考えられます。今後の焦点は中東情勢の行方と原油価格の動向です。ホルムズ海峡の航行が維持される限り、原油価格の上昇は一時的にとどまり、株式市場も次第に落ち着きを取り戻す可能性があります。一方で供給リスクが高まりWTIが100ドルを超える局面となれば、インフレ再燃への警戒から世界株式市場では売りが強まりやすくなるでしょう。東証市場の方向性を見極めるうえでも、原油価格と中東情勢の変化を引き続き注視する必要があります。

 

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