金融マーケット全体の動向を理解することは、個別株投資の投資戦略を練る上で不可欠です。株価変動のメカニズムには内部要因と外部要因があり、景気の動向、経済、政治、産業、国際情勢、為替、金融政策、など多岐にわたる要素が相互に影響を及ぼしながら投資家心理に影響を与えています。したがって、個別株投資する際には、これらの要因を考慮に入れ、マーケット全体の投資家心理とマネーの流れを把握することが、機会を最大限に活用すること及びリスク管理する上で、非常に重要な要素となります。
今週の株式市場は、フランス総選挙に関連する不透明感から、日経平均が月曜日に712円安と大幅に下落する場面もありました。しかし、この動きも一時的で、結局先週までの流れと、あまり変わっていません。
一方で、米国株式市場ではS&P500とNASDAQが高値を更新し続けており、ハイテク主導の株高が続いていることを示しています。
しかし、欧州やアジアの各株式市場では、指数が調整局面を迎えているところが多いことから、世界的にS&P50NASDAQ、SOX指数(フィラデルフィア半導体株指数)といったハイテク指数だけが特異な動きをしていることが観察されます。これは、特定のハイテク銘柄がこれらの指数の上昇に大きく寄与していることを示しており、一握りの見銘柄だけが買われている様子を浮き彫りにしています。
※ 日経平均株価の日足
このような米国株の動向を受けても、日本株については明確な方向性が出ているわけではありませんが、逆に株価が大きく崩れることもありません。これは、国内外の政治的な不確実性や経済指標に対する市場の反応が、短期的なボラティリティに留まっており、中長期的なトレンドには影響を与えていないことを示しています。
今後の展望としては、フランスの政治的混乱が続く中で、総選挙の結果が市場にどのような影響を及ぼすかが注目されます。また、米国株式市場の動向とハイテク株のパフォーマンスは、引き続きグローバルな投資家の関心を集めるでしょう。
これらの外部要因に加えて、国内の経済政策や企業業績などが株価に影響を与える重要な要素となります。日経平均の水準的には、先週末の日経平均先物6月限SQ(特別清算指数)値である3万8535.35円を上回って推移できるかが、相場の強弱を計る一つの目安となりそうです。
先週の中央銀行イベントが通過したことで、株式市場では買い安心感が出ても良い場面ではありますが、今のところ一進一退の動きが続いています。別の見方では、慎重ながらもポジティブな動きを見せていると言えるでしょう。このように指数の方向感は無くとも、安定した環境が続く間は、これまでの個別材料株を物色する流れは継続すると見ています。