金融マーケット全体の動向を理解することは、個別株投資の投資戦略を練る上で不可欠です。株価変動のメカニズムには内部要因と外部要因があり、景気の動向、経済、政治、産業、国際情勢、為替、金融政策、など多岐にわたる要素が相互に影響を及ぼしながら投資家心理に影響を与えています。したがって、個別株投資する際には、これらの要因を考慮に入れ、マーケット全体の投資家心理とマネーの流れを把握することが、機会を最大限に活用すること及びリスク管理する上で、非常に重要な要素となります。
今週の日本株は、後半から大幅な下落に直面。特に4日の日経平均株価は前日比1,638.70円(4.2%)安の37,047.61円と大幅に下落。この下落の火種となったのは、米国景気の後退懸念に伴う米国株の急落と円高です。米国経済の景気減速懸念が再燃し、特に半導体大手エヌビディアの株価急落が日本の半導体関連銘柄にも波及しています。
今週の下落は8月5日の急落と比べて、値幅自体には大きな差はありますが、米国市場の下落と円高の進行が日本株に影響を与えている点や、米国経済の景気減速懸念が再燃している点など、類似している点が多くなっています。
この点も踏まえ、今後注目しておきたいのはグロース市場の動きです。興味深いのは、8月5日の急落後の市場回復が、グロース市場の小型株を中心に進行したことです。個別株物色が活発化し、特に時価総額の小さな銘柄に資金が集まりました。このトレンドは、現在の市場でも続いています。
その背景には、円高の進行や秋の米大統領選挙など、外部要因に左右されやすい外需株に対する不安があります。これに対して、内需株は外部要因の影響を受けにくいとされ、特に内需比率の高いグロース市場の小型株が投資家に選好され易くなっています。内需関連の小型株は、外需株と比べて出遅れ修正の余地が大きいと考えられており、今後も物色の対象となる可能性が高いと考えています
今週の大幅な下落に対し、今後のグロース市場の回復、及び小型株優位の地合いが強まるか、注目すべき局面と見ています。
また、投機性の高い短期資金の動向もこの流れに影響を与えそうです。8月急落後の相場では、個別株物色が進む中で、短期的な利益を狙う投機筋の動きが、日経平均株価に連動しやすい大型株よりもグロース市場の小型株へ向かった経緯があります。さらに、個人投資家もこの動きに追随する傾向が見られており、投機性の高い銘柄への関心が高まったことは記憶に新しい。
全体的な市場動向を振り返ると、米国株市場や円高の影響で短期的には不安定な動きが続く可能性がありますが、グロース市場の小型株は今後の回復フォーカスを当て、特定の銘柄やセクターに注目することで投資機会を見出すことに注力すべき局面と認識しています。
※上記は有料レポートで配信した銘柄と配信翌日始値からの上昇率
不安定な地合いの中でも、上記表のような一部の銘柄群では投機筋による「リスクオン姿勢」が見受けられます。現状、4日の急落からまだ日が浅く、市場全体が回復一辺倒というわけではありません。しかし、この状況だからこそ、物色に対する過熱感が薄く、買い安心感があると考えています。今はむしろ「懐疑の中で育つ」相場展開が期待される段階です。
こうした局面では、投機性の高い短期狙いの資金が、出遅れセクターや個別の材料株に向かう傾向があります。これにより、銘柄次第では大きく値幅を狙えるチャンスが生まれるでしょう。弊社でも、今後急速に値を吊り上げると想定される銘柄をいくつかマークしており、これまでとは異なる銘柄が火柱を上げる展開も十分に考えられます。こうした新手の短期的な値幅取りに適した銘柄を、今後も弊社の有料レポートで取り上げていく予定です。