日経平均が追い上げへ!グロース市場とのギャップ埋めが進むか注目

個別株投資では、景気や経済、政治、為替、金融政策など、マーケット全体の動向を把握することが不可欠です。これらの要因は相互に影響し合い、投資家心理や短期マネーの流れに影響を与えています。投資機会を活かすためには、こうした外部環境や市場心理をしっかりと理解することが、物色トレンドを見極めるうえで非常に重要です。

 

 

2025年5月29日の東京株式市場では、日経平均株価が大幅に上昇し、投資家心理がリスクオンへと傾きつつある様子が鮮明となりました。前日の米国市場において、半導体大手エヌビディアが好決算を発表し、時間外で株価が急騰したことが日本市場にも波及し、関連銘柄を中心に幅広い銘柄に買いが広がる展開となりました。

 

※ 日経平均の日足

 

特に目を引くのは、為替市場で円安が急速に進行している点です。ドル円相場は一時146円台前半まで円安が進み、これが輸出関連株に対する買いを誘発し、日経平均の上昇に拍車をかけました。日本の40年国債入札が不調に終わり、長期金利の上昇が円売りを促したことや、米国の消費者信頼感指数が予想を上回ったことも円安の背景にあります。

 

ここ最近の日経平均は、これまで上値の重さが意識される場面が続いていました。背景には、トランプ前大統領の発言に端を発する政策リスクへの警戒感や、日本銀行の利上げ観測に伴う円高懸念があり、主力大型株への投資に慎重な姿勢が強まっていたことが挙げられます。その結果、消去法的にグロース市場へ資金が流入し、小型株中心の上昇が続いていました。

しかし、こうした構図に変化の兆しが見え始めています。きょうのように為替が円安に振れ、かつ米国市場を背景にリスクオンの流れが強まる中、出遅れていた日経平均にもようやく資金が向かう動きが現れました。これは、これまで一方的に優位とされていたグロース市場とのパフォーマンスギャップを埋める可能性がある局面といえるでしょう。

 

※ グロース市場250の日足

 

実際、東証グロース市場指数は年初来高値を更新するなど堅調な推移を続けていますが、ここにきて日経平均も反転の兆しを見せ始めたことで、両者の差が縮まる動きが加速するかどうかが今後の注目ポイントとなります。

 

このような地合いの変化を受けて、個別株物色の裾野が再び広がる展開が期待されます。大型株を中心とした堅調な相場が継続すれば、個別株に対する資金の循環がより一層活発になり、幅広い銘柄に投資の機会が広がる可能性があります。こうなると、中小型株にも新たな買いが波及し、動意づく展開が見込まれます。

これは、短期的な資金が循環物色の形でさまざまな銘柄に投資されることで、市場全体に活発な売買が広がっていく資金回転の好例といえます。今後、このような相場展開が持続的なトレンドに発展するかどうかが、注目すべき重要な局面を迎えているといえるでしょう。