再評価進む住友ファーマ(4506)、株価2倍の先にある成長戦略とは?

 

住友ファーマ(4506)
2025年8月29日の終値は1525円(+35円)となっています

住友ファーマ(4506)の時価は1,525円と、年初来で2倍超の上昇を遂げています。特に7月以降のパフォーマンスは顕著で、7月初旬の900円台からわずか2カ月で1,500円台に乗せてきました。この強い値動きは、単なる短期的な思惑やテーマ株の循環物色に留まらず、中長期的な視点から企業価値が見直されつつあることが要因です。

住友ファーマ(4506)は、精神神経やがん、再生・細胞医薬などの分野に注力する医療用医薬品メーカーです。業績や株価が低迷していた時期もありましたが、近年の構造改革や米国市場における主力製品の好調により企業価値が高まり、投資家から再評価の動きが広がっています。

またこの銘柄に関しては、弊社の有料レポートにて1000円付近で取り上げた経緯のある銘柄です。4月以降は上昇トレンドが継続し、投機的資金の流入で値動きの活発さが目立ちます。相場の流れをつかむことで、売買の好機を得やすい銘柄の一つと言えます。

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住友ファーマに対する投資家の評価が見直された背景には、2025年3月期決算での黒字転換と、米国主要3製品(オルゴビクス、ジェムテサ、マイフェンブリー)の収益貢献が明確になった点があります。さらに、アジア事業の60%を丸紅グループに譲渡し、第2四半期に約450億円の譲渡益を計上予定であることも、財務体質の改善と収益基盤の再構築を後押ししています。これらを受けて、市場では企業フェーズが「再生」から「成長」へと移行しつつあるとの見方が強まっています。

加えて、Medicare制度変更の追い風を受けて、オルゴビクスの米国販売が急増しています。数量ベースで前年比210%の成長となりました。経口剤の優位性や価格戦略、新たな適応症の拡大が、収益強化に貢献し、株式市場でも評価が高まる可能性があります。

 

※ 住友ファーマ(4506)の日足

 

日足に目を向けると、7月30日に一気に16%以上の上昇を見せたことで、市場の注目が一段と高まりました。その後も終値では1,200円台を割らずに推移し、足元では1,500円台を定着させつつあります。信用倍率は4倍台と買い長傾向ではありますが、出来高も伴っており、需給バランスに大きな過熱感は見られません。

テクニカル面では、5日線が25日線を上回る上昇トレンドを維持しており、両線とも上向きを保っています。MACDもシグナルラインを上抜けたまま推移しており、強いモメンタムが継続中です。RSIは70台に達しており短期的な過熱感は否めませんが、調整を挟まずに上昇を続けている点は地合いの強さを物語っています。ボリンジャーバンドも拡大傾向にあり、バンドウォークが続いていることから、今後も上値を試す展開が視野に入ります。現行のトレンドが崩れるまでは、ポジション維持が基本戦略となります。

 

今後の焦点となるのは、再生医療分野での革新的なパイプライン展開です。2025年8月5日には、非自己iPS細胞由来ドパミン神経前駆細胞(raguneprocel)について、RACTHERAとの共同で国内承認申請を行いました。この細胞治療薬は、パーキンソン病患者への新たな治療選択肢として注目されており、承認・上市に至れば、企業としての成長期待が一段と高まる可能性があります。

現在のPERは15.1倍、PBRは3.44倍と、指標面ではやや割高にも映りますが、再生医療・米国製品拡販・構造改革後の利益体質といった成長ドライバーを考慮すると、依然として評価余地は残されています。時価総額は6,000億円を突破し、企業価値は着実に高まっていますが、マーケットはその全容をまだ十分に織り込めていない印象です。

総じて、住友ファーマの株価は赤字体質からの脱却を経て、収益力と将来性を備えた企業として水準を切り上げた段階にあります。ただし、成長ストーリーの本格化はこれからであり、再生医療を中長期の柱とする同社には、さらなる株価上昇の余地があると考えられます。

 

 

弊社では、個別材料株を取り巻く多様な市場環境を踏まえ、今後の相場展開において有望な短期投資チャンスを的確に捉えることを目指しています。収益機会を最大限に活かすべく、すでに今後急騰が見込まれる銘柄を複数選定し、継続的に動向を注視しています。

また、これまで物色の中心となっていた銘柄とは異なる、新たなテーマや資金の流れに沿った銘柄群が台頭してくる展開も十分に想定されます。こうした短期物色に適した注目銘柄については、今後も弊社の有料レポートにて、詳細な分析とともに取り上げてまいります。

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