エス・サイエンス(5721)
2025年12月24日の終値は250円(+25円)となっています
12月に入り乱高下を伴いながらも株価水準を大きく切り上げ、急騰開始前日の12月14日終値と比べると、足元では実質的に倍近い水準まで上昇しています。訂正IRが相次いだことでガバナンス面への懸念は残るものの、株価は崩れず、強い需給を背景に上昇トレンドを維持している点が現在の相場の特徴です。
エス・サイエンス(5721)は、ニッケル販売を祖業とし、不動産事業を併営してきた企業です。近年はデジタル資産分野へ軸足を広げ、2025年7月にビットコイン備蓄を含むクリプトアセット事業を立ち上げました。暗号資産と財務戦略を結び付けたDAT戦略が、今回の物色テーマの中核となっています。
なお、この銘柄に関しては、投機筋絡みの案件として、11月に130円付近の水準で、弊社有料レポートで取り上げた経緯があります。
※ エス・サイエンス(5721)の日足
同社株が物色された背景には、Digital Asset Treasury(DAT)戦略の推進、ビットコイン保有拡大方針、株主割当による無償新株予約権発行といった材料が短期間に集中したことがあります。いずれも短期的な業績改善を直接示すものではありませんが、暗号資産市況の回復を背景に、将来の収益機会を強く意識させる内容であったことは確かです。その結果、低位株として評価が抑えられてきた同社株に、将来性プレミアムが一気に付与されました。
注目すべきは、将来性プレミアムと時価バリュエーションの関係です。本業の収益基盤は依然として脆弱で、暗号資産の評価益への依存度も高い中、株価は短期間で倍化しました。これは企業価値の確定的な上昇というより、DAT戦略の進展や暗号資産価格の高値維持といった前提を先取りした評価と見るのが妥当でしょう。過剰反応と断じる段階ではない一方、実力以上を一時的に織り込んだ水準に入っている点は否定できません。
この相場を主導しているのは、明らかに投機筋です。出来高を伴う急騰局面では、板の薄さを利用して株価を段階的に引き上げ、押し目では個人投資家の不安売りを吸収しながらポジションを積み上げる、典型的な仕掛け型の値動きが確認されました。
材料が完全に出揃う前に株価を先行させ、市場の期待を高めることで需給を一気に傾ける手法は、過去の低位株相場でも繰り返し見られてきたものです。足元の乱高下は、急騰後の短期資金同士のぶつかり合いであり、同時に材料先取り後の時間調整やポジションの入れ替えが進んでいる局面と捉えられます。
テクニカル面では、日足ベースで主要移動平均線を上抜き、上昇トレンド自体は維持されています。価格帯別出来高を見ると、200円前後から220円付近に厚い出来高の集積があり、この水準は短期的な下値支持として意識されやすい一方、250円超では出来高が薄く、上値を追うには新たな材料や出来高の再加速が必要です。出来高がやや減少傾向にある点は注意が必要ですが、急騰直後の整理局面としては想定内であり、直ちにトレンド転換を示すものではありません。
今後の相場では、下値は200円前後を維持できるかが最初の分岐点となります。この水準を明確に割り込む場合、短期資金の撤退が進み、上昇トレンドは一旦終了と判断するのが現実的でしょう。一方で、250円台を安定的に保ち、出来高を伴って300円を上抜ける展開となれば、再び強気相場に移行する余地も残されています。
急激な一連の上昇は、株価の過剰反応という一面がある一方で、現時点の業績や実態以上の期待が先行して株価に反映されている段階とも言えます。相場は「夢を買うフェーズ」から、「DAT戦略が実際に収益として表れてくるかを見極めるフェーズ」へ移行しつつあり、短期需給の強さは認めつつも、警戒感と謙虚さを保った対応が求められる局面と言えるでしょう。
現在の市場では、投機性の高い資金が流入することでボラティリティの高い相場が散見されます。同時に、上記の銘柄に続く、まだ初動段階にある有望な銘柄も多く控えています。弊社では、今後の市場動向を慎重に見極めながら、これらの有望案件をを最適なタイミングで、有料レポートにて順次配信していく予定です。


