株式市場は方向感に乏しいレンジ相場に突入か!?目下、「東京五輪開催の是非」に注目

今週の株式市場は、先週に続き戻りを試す展開となっております。日経平均やマザーズなどの指数はリバウンドを試すものの、戻りの弱さや出来高が盛り上がらない点はやや気掛かりです。しかし、株式市場の下落相場が今後も続くという見方よりも、方向感に乏しいレンジ相場に突入したという見方をしております。

米国市場ではSOX指数(フィラデルフィア半導体株指数)の上昇基調が継続していることや、VIX指数が17ポイント台まで低下していることなども、投資家がヘッジに右往左往する様子が無くなってきたことを裏付けております。

また、急落の背景にあった「テーパリング(金融緩和縮小)」開始の議論も、ここにきて米連邦準備理事会(FRB)関係者による、「今後入ってくる経済データ次第」としつつも、「時期尚早」との発言でトーンダウンしてきたことも、足元の株価回復に寄与しています。

 

今月の株式市場急落などは、市場が年後半から来年頭に掛けて開始される見込みの「テーパリング」の事実を、徐々に織り込むプロセスの一環であると見ており、今後も度々このような局面があると予想されますが、景気回復の過程の中では適正な市場の反応と言えます。

基本的に「経済成長化」が根底に有ってのことですので、「金融相場」による株高は一巡したものの、株式市場は「業績相場」を模索するステージに突入しつつあると見ております。

 

その流れの中では「経済正常化」の鍵となる「ワクチン接種の普及」は欠かせない要素であり、普及に対して周回遅れの日本の株式市場が、再び史上最高値に迫る米国株市場との差にも出てきていると感じます。

目下、「東京五輪開催の是非」については海外投資家の関心も高く、「開催強行」なら感染拡大のリスクが増大し、日本の経済正常化に一層の遅れが出ると認識されていることも株価出遅れの要因と見ております。

しかし「開催中止」なら、このリスクが後退することになりますので、現状の米国株に対する「出遅れの差」がそのまま見直し余地に転じる可能性が高まると見ております。

この政治的な判断が下るまでは、指数は緩慢な動きが続く可能性がありますので、個別材料株に目が行き易い地合いになると想定しております。