今週の株式市場は日経平均が急落し年初来安値を更新

日経平均は8月前半こそ2週連続の陽線上昇となりましたが、今週は一気に下値を模索する展開に転じております。

日経平均の日足は200日移動平均付近から一気に下へ放れており、年初来安値を更新したことで、6月以降下値を切り下げる流れが継続しております。

 

※日経平均の日足チャート

 

20日金曜日の終値時点における日経平均の騰落レシオ(25日)は76.33と、かなり低い水準まで下げております。今後これが70付近まで低下してくると、売り局面終盤の気配も出てくる可能性がありますが、今年の夏は米FRBによる金融政策の転換期が訪れようとしているほか、秋の衆院総選挙を控えて波乱要因が多いのも事実です。

また、デルタ株の感染拡大に歯止めが掛からない国内では、景気減速が懸念されて日経平均が27000円台を維持できないようであれば、更に下値を模索する懸念も出てきます。

ここ数年の8月相場は弱い動きが定着化しておりましたが、チャイナショックに拠る世界的な株価急落となった2015年を除いては、8月後半又は9月頃から株価が大きく戻す傾向があります。

今年はデルタ株の感染拡大や米FRBによるテーパリング議論、秋の解散総選挙など、大きな手掛かりが重なっていることで見通しが難しい相場となっております。

 

今週の各市場の動き (週間騰落率)

<国内市場>
日経平均株価  27,013.25 -3.45%
TOPIX  1,880.68 -3.87%
マザーズ  1,034.81 -3.20%
ドル/円  109.79 +0.20%

<アジア市場>
上海総合指数  3,427.33 -2.53%
香港ハンセン  24,849.72 -5.84%
韓国総合株価指数  3,060.51 -1.20%

<米国市場>
S&P500  4,441.67 -0.59%
ナスダック総合  14,714.7 -0.73%
NYダウ  35,120.08 -0.59%

<欧州>
ユーロ・ストックス50  4,147.50 -1.94%
独DAX  15,808.04 -1.06%
英FTSE100  7,087.90 -1.81%
仏CAC40  6,626.11 -3.91%

<その他>
WTI原油  61.86 -9.61%
NY金先物  1,782.50 +0.24%
米10年債利回り  1.255 +2.21%
シカゴVIX  18.56 +20.13%

 

この一週間を振り返ると、米国株はそれ程崩れていませんが、香港ハンセン指数が5%を超す下落となっており、日本を含めたアジア株全般の下げが目立ちます。

先行きを見通し難い要因として、デルタ株の影響で新型コロナウイルスの感染拡大が国内のみならず、世界的にも深刻化していることが挙げられます。変異株に対する「ワクチン効果の限界」を指摘する声も聞かれる中、新たな変異株の出現が今後の世界景気にどこまで影響を及ぼすかが懸念されます。

数か月前までワクチン普及で「アフターコロナ」が意識された頃の「青写真」も、やや雲行きが怪しくなっていると言えます。

 

また、デルタ株感染拡大の影響で、既に中国の景気減速が鮮明となっているほか、最近の習近平政権で「社会主義」的政策が目立つことも、アジア株全体に悪影響が及んでいる要因となっております。

今のところ、米国の景気回復は鈍化の兆しが見られるものの、インフレ高止まりや雇用の改善が続いていることが米国株一強の背景にあると見ております。しかし、今後米国でもワクチン普及に伴うコロナ禍脱出へのシナリオの雲行きが怪しくなるようなら、マーケットが動揺する可能性も懸念されます。

 

今週末の米国市場は、木曜日にVIXが20を超えるなど、オプション市場を中心とした動揺も見られましたが、20日の取引ではやや落ち着きを取り戻した感があります。この影響から週明けの東京市場は、今週下げた反動も加わり、戻りを試す展開も想定されそうですが、目先は月末にジャクソンホール会合を控えて不安定な地合いは続きそうです。