先週(~9/3)の株式市場は、日経平均が週間で5%を超す強い動き。3日には菅義偉首相が9月下旬に行われる自民党総裁選挙に立候補しない方針を固めると、株価はこれに大きく反応して日経平均は大幅高でこの週の取引を終えております。
この一週間を振り返ると、動きが乏しい欧米市場や、戻り基調が続くアジア株の中でも、日経平均やTOPIXの上げ幅が特筆して大きい様子が窺えます。
先週(~9/3)の各市場の動き (週間騰落率)
<国内市場>
日経平均株価 29,128.11 +5.38%
TOPIX 2,015.45 +4.49%
東証二部 7,712.84 +2.18%
JASDAQ 190.73 +2.61%
マザーズ 1,117.21 +2.26%
ドル/円 109.71 -0.10%
<アジア市場>
上海総合指数 3,581.73 +1.69%
香港ハンセン 25,901.99 +1.94%
韓国総合株価指数 3,201.06 +2.14%
<米国市場>
S&P500 4,535.43 +0.58%
ナスダック総合 15,363.5 +1.55%
NYダウ 35,369.09 -0.24%
<欧州>
ユーロ・ストックス50 4,201.98 +0.26%
独DAX 15,781.20 -0.45%
英FTSE100 7,138.35 -0.14%
仏CAC40 6,689.99 +0.12%
<その他>
WTI原油 69.12 +0.55%
NY金先物 1,830.25 +0.59%
米10年債利回り 1.326 +1.32%
シカゴVIX 16.41 +0.12%
※日経平均の日足チャート
金曜日の日経平均大幅高は、マーケットが支持率30%を割り込んでいた菅首相の退陣表明を、強く歓迎した動きと捉えることができます。今後自民総裁選の趨勢で大きく揺れる場面も想定されますが、「今より良くなる」との期待が相場の下支えとなり、日本株は「政局相場」へ突入した感があります。
日経平均の日足は、直近の安値である8月20日安値(26954円)から8%近い戻りを記録。これは2月高値以降の下降トレンドの中では一番大きな上昇幅となります。
また、75日移動平均及び200日移動平均を抜けてからも強い基調を保っていることや、出来高が増加傾向にある様子から、投資家の日本株に対する買い意欲の高まりが窺えます。2月高値から続く下値切り下げトレンドから抜けるには、6月15日の戻り高値(29480円)を突破する必要があり、政局相場をきっかけにトレンドが変わるか注目されます。
国内では政局相場一色ですが、米国市場では今後の米FRBによる政策方針を見極めるうえでも、3日は8月の米雇用統計に注目が集まりました。非農業部門雇用者数が事前予想の72万8000人増を大きく下回る23万5000人増と、予想外の結果。
これを受けた市場の反応は、デルタ株による景気や雇用への影響から景気のピークアウトが意識された反面、テーパリング後ずれ期待による緩和継続が株価を支えた側面が見受けられました。10年債利回りや原油、金相場など他の金融商品の反応から、マーケットは強気(緩和継続期待)と弱気(景気減速)のあいだで意見が分かれている印象を受けます。
早期テーパリング見通し及び利上げ時期の後退から株価は底堅く推移しましたが、賃金上昇などを見るとインフレ懸念は拭えません。これを受けた米国市場が、来週はどう動くか注目する必要がありそうです。