今週の日経平均は2月高値を更新するも、3万円台で伸び悩む展開。ここにきて中国リスクが浮上

日経平均の日足は、昨日まで12営業日連続の「陽線」となっており、夜のNY市場が下げても日中の日経平均はこれを取り戻す強さが続いておりました。しかし、今日は中国恒大集団の債務リスクが警戒されて前場から下げ幅を拡げる展開となり、日足には久しぶりの「陰線」が出現しております。

 

※日経平均の日足チャート

 

中国不動産業界で第2位の巨大不動産開発企業である中国恒大においては、数か月前から過剰債務と資金繰り問題が懸念されており、以前から「デフォルトは既定路線」との見方もされていましたが、国外市場への影響はほとんど見られませんでした。

中国恒大の破綻リスクは、既に中国内では投資家や同社の開発の不動産商品、又は理財商品の購入者によるデモが起きており、政治的問題に発展しつつあります。これに対し、金融市場と政治的混乱を嫌う中国政府が、今後どこまで救済の手を差し伸べるのか注視されます。

 

欧米市場のこの問題に対する影響は今のところ限定的であり、中国恒大のデフォルトリスクよりも、世界経済の二大エンジンの一つである中国の景気減速とこれに伴う世界経済への影響の方が危惧されている印象があります。

故に、今日の日本株が以前から指摘されてきたこの問題に反応して下げたことには、やや違和感もあります。8月後半から日本株を買い越してきた海外勢の動きが売りに転じるなら、「新政権への期待を支えとした日本株買い」も頓挫する可能性が出てきますので、中国恒大の債務リスク問題に対する米国市場の反応を見極める必要があるでしょう。

 

9月の日本株独歩高は、2月高値から調整が半年続いた後ですので、割高な欧米市場を売り、相対的に割安感が魅力となった日本株との乖離を埋めている状況と捉えております。日経平均の日足は短期的には過熱感が高い状態ですので、目先は一時的な熱冷ましの動きがあっても不思議ではない局面です。上記中国恒大の債務リスクを米国市場が世界的金融リスクと受け止めないのであれば、「新政権への期待を支えとした日本株買い」は継続する可能性があると見ております。

 

一方、8月まで新値追いが続いたNY市場は、レイバーデー明け以降は楽観ムードが後退しており、株式市場は調整ムードを強めております。

米国景気は依然好調を維持しているものの、伸び悩みの兆しが見られるほか、インフレ長期化懸念やテーパリング開始の時期も含めて、「先行き不透明な要素」が足元で増えてきております。これに伴う、投資家のポジション調整の動きが出てきたことは、適正な動きと見ております。

米国景気の改善は高止まりが想定されますので、目先は「過度の楽観」の修正(調整)の動きは1~2か月程度は続くと思われますが、調整一巡後は強い景気回復を織り込む動きに回帰するのではないかと見ております。ただ、目先は中国恒大の債務リスク問題に関わらず、S&P500は50日移動平均の攻防からこれを割り込んでくる展開を想定しております。

 

※S&P500の日足チャート