NY時間8日に発表された米9月雇用統計では、非農業部門雇用者数が前月比+19.4万人と事前予想の+50万に大きく届かず。市場予想を大きく下回り、労働市場の回復の遅れが見られます。
先月のFOMC以降、タカ派寄りスタンスに転じた金融政策を受けて動揺が続いているNY市場にとっては、今回の雇用統計を受けて「テーパリングの後ずれ」期待が浮上。ただ、緩和状態持続を期待する一方で、景気回復の鈍化への懸念とインフレ対策が後手に回るとの懸念も浮上。これを受けて今夜のNY株式市場は膠着感を強めております。
米10年債利回りは今回の雇用統計を受けても尚、利回りは上昇を続けており、1.6%を試す局面。債券市場では年内のテーパリングは濃厚と受け止めている様子が窺えます。
今回の雇用統計では、労働参加率の回復も鈍い一方で賃金は年率4.6%増と「人手不足」による雇用減速以上に賃金上昇が加速しており、インフレ要因として懸念されます。
インフレ抑制の為に、金融引き締めに舵を切りたいFRBですが、雇用回復の遅れが足を引っ張る構図。しかしながら、引き締めを遅らせればインフレ圧力が景気回復の足を引っ張るというジレンマに陥りつつあります。
いずれにせよ、不透明性を最も嫌う株式市場にとってはマイナス要因となりそうです。今日の雇用統計を受けて、米国株はリバウンドの流れに急ブレーキが掛かったと同時に、方向感を失いつつある様子も見受けられます。
今週の日本株は週末に掛けて戻りを試す展開となりましたが、来週明けは気難しいスタートとなりそうです。