株式市場は依然不安定な状況が継続 オミクロンに加え米FRBのタカ派姿勢も注視

先週の株式市場は日経平均が2週続落と、前週末(11月26日)に南アフリカで発見された新型コロナウイルスの新たな変異株「オミクロン株」で急落した水準から、更に一段安の展開となりました。しかし、この一週間でオミクロン株に対する織り込みが進んできたことで、先行して下落していたNYダウや日経平均といったバリュー比率の高い株価指数には下げ渋りの兆しも見られます。

 

ただ、先週末(3日)の米国株は依然下落基調が続いており、NYダウが-0,17%の小幅安に対してIT・テック株比率の高いNASDAQは-1.92%と大きく値を下げている様子から、「オミクロン株」よりも米FRBの「タカ派姿勢の強まり」の方が市場に動揺を与えている様子が窺えます。週末のシカゴVIX(恐怖指数)が30ポイントを越えている様子からも、投資家の動揺振りが窺えます。

 

先週(~12/3)の各市場の動き (週間騰落率)

<国内市場>
日経平均株価  28,029.57 -2,51%
TOPIX  1,957.86 -1.37%
東証二部 7,375.22 -1.85%
JASDAQ 177.55 -2.75%
マザーズ  1,048.78 -7.08%
ドル/円  112.80 -0.24%

<アジア市場>
上海総合指数  3,607.43 +1.22%
香港ハンセン  23,766.69 -1.30%
韓国総合株価指数  2,968.33 -1.09%

<米国市場>
S&P500  4,538.43 -1.22%
ナスダック総合  15,085.5 -2.62%
NYダウ  34,580.08 -0.94%
シカゴVIX  30.75 +7.44%

<欧州>
ユーロ・ストックス50  4,080.15 -0.23%
独DAX  15,169.98 -0.57%
英FTSE100  7,122.32 +1.11%
仏CAC40  6,765.52 +0.38%

<その他>
WTI原油  66.26 -0.85%
NY金先物  1,783.30 -0.25%
米10年債利回り  1.378 -11.44%
BTC/円  5,578,722 -14.45%

 

先週を振り返ると欧州やアジア市場は徐々に下げ渋りの兆しも見られますが、週末のNASDAQやビットコインの急落、米長短金利の乱高下が目立ちました。この先、12月10日の米CPI(消費者物価指数)や、14~15日の次回米FOMCなど金融政策に影響を与える重要イベントを控えていることから、引き続き金融市場は不安定な状況が続くことが懸念されます。

 

「オミクロン株」は市場に織り込まれてきましたが、11月30日のパウエル米FRB議長に拠る「テーパリング前倒し」発言を織り込みは、依然途上段階の感を否めません。過去を振り返っても「緩やかな金融引き締め」であれば、株式市場は対応してきましたが、「引き締めを急ぐ」局面では投資家の動揺は避けられないと見ております。

この米国市場の不安定な動きは、今週の日本株へも影響を与える可能性が高いでしょう。現状の日経平均は、岸田内閣発足後の安値27293円(10月)や26954円(8月)の年初来安値水準である27000円付近が強い下値抵抗として機能しており、目先はこれを維持できるか注視する必要があるでしょう。