連休明けの東京市場は、単純な「米ハイテク株高への追随」ではなく、AI関連の強さ、原油高、円相場、地政学リスクを一度に織り込み直す展開になりそうです。
連休前までの東京市場は、底堅さを保っていました。5月1日の日経平均株価は3営業日ぶりに反発し、終値は前日比228円高の5万9513円となりました。連休前で積極的にポジションを傾けにくいタイミングだったにもかかわらず、好決算銘柄や半導体関連を中心に買いが入り、相場の地合いは大きく崩れていませんでした。
もっとも、4月27日に終値ベースで6万円台へ乗せた後は、利益確定売りや金利上昇への警戒も出ています。上値を一気に追うというより、過熱感を冷ましながら個別材料を選別する流れに移っていたと見られます。連休前の東京市場は「弱い相場」ではなく、「強い相場が一度休んだだけ」と捉えるのが自然です。ただし、6万円台を維持できなかったことで、連休明けに悪材料が重なれば、短期筋の売り仕掛けが入りやすい形にはなっていました。
連休中の海外材料で最も大きいのは、中東情勢とホルムズ海峡を巡る不透明感です。5月4日のアジア時間では、トランプ米大統領がホルムズ海峡周辺で滞留する船舶の航行を支援する方針を示した一方、原油価格は高止まりし、アジア通貨も総じて軟調に推移しました。北海ブレント先物は1バレル108ドル台前後で推移しており、依然として高い水準にあります。
日本株にとって原油高は、資源関連や商社には追い風となります。一方で、空運、陸運、化学、電力、外食など、コスト増を嫌う業種には重しです。さらに、日本はエネルギー輸入国であるため、原油高は貿易収支や円相場にも波及します。ホルムズ海峡の「航行再開」や「支援策」が出たとしても、すぐにリスクが消えたと判断するのは早いでしょう。少なくとも連休明けの投資家心理には、重い影を残す材料です。
一方で、米ハイテク決算は東京市場にとって支援材料です。アルファベットはクラウド部門の成長が評価され、株価が大きく上昇しました。アマゾンもAWSの成長が評価され、時間外では買いが優勢となりました。一方、メタやマイクロソフトでは、好決算そのものよりもAI関連投資の重さが意識され、株価の上値を抑える要因となりました。
ここから見えるのは、AI相場が終わったということではありません。AI投資なら何でも買われる局面から、投資額に見合う収益化が見える企業だけが評価される局面へ移っているということです。東京市場でも、半導体、データセンター、電力設備、冷却、光通信、AIインフラ関連には資金が残りやすいと見ています。一方で、単なるAI連想だけの銘柄は、これまで以上に選別されやすくなるでしょう。この流れは日本株にとって悪くありません。むしろ、物色の軸が具体化し、テーマ株の中でも本命と周辺株の差が広がる局面に入ったと考えています。
FOMCも重要です。FOMCでは政策金利が3.50~3.75%に据え置かれましたが、インフレ警戒は残っています。市場が期待していた早期利下げへの安心感は広がりませんでした。そこに原油高が重なれば、米長期金利は下がりにくくなり、グロース株には一定の重しとなります。
ただし、米国企業決算が強い間は、金利上昇だけで株式市場が一方的に崩れるとは限りません。問題は、原油高が「一時的な地政学リスク」で済むのか、それともインフレ再加速として市場に再評価されるのかです。連休明けの東証は、まずこの点を確認しにいく相場になると見ています。
為替も神経質です。5月4日のアジア時間にはドル円が一時155円台まで急落し、市場では日本当局による円買い介入への警戒感が高まりました。その後も157円前後で不安定な動きとなっており、円安メリット株には追い風と逆風が同時に出ています。
円安自体は輸出株の業績押し上げ要因です。しかし、介入警戒がある局面では、為替は一方向に進みにくくなります。自動車や機械などの外需株は、円安メリットだけで買うにはやや難しい局面です。むしろ為替よりも、個別決算や受注環境を確認する流れになりそうです。為替は株式市場の支援材料というより、短期的にはボラティリティ要因として見た方がよいでしょう。
日本市場はまだ連休中であり、連休明けまでには海外株、為替、原油、中東情勢がさらに動く余地があります。記載した見通しは、投稿時点の見立てです。連休明けの東証は、寄り付きから荒れやすいと見ています。日経平均は連休前に5万9000円台を維持しており、相場の基調はまだ崩れていません。ただ、中東情勢、原油高、為替介入警戒、米金利の重さをまとめて織り込む必要があります。
そのため、まずは指数が下に振られた後、AIインフラ、半導体、資源、商社、防衛、エネルギー周辺などに資金が残るかが焦点です。逆に、原油高を嫌う内需コスト増銘柄や、金利上昇に弱い高PERグロースには売りが出やすいと見ています。
今後の方向性としては、東証全体がすぐに上昇基調へ戻るというより、指数は不安定ながら、資金の逃げ場がある銘柄に選別物色が続く展開を想定しています。日経平均が5万9000円台を維持できれば、6万円回復を試す流れは残ります。一方、外部環境の悪化で5万8000円台を明確に割り込むようなら、短期的には連休前の楽観をいったん修正する動きが強まりそうです。
連休明けは、全面強気で買い向かう場面ではありません。下げた時に、どのテーマへ資金が残るかを見極める局面です。指数よりも、資源、AIインフラ、防衛、半導体の中で、出来高を伴って崩れない銘柄を確認することが重要になります。
市場の不安は強まっていますが、こういう局面ほど、資金の逃げ先ははっきり出ます。連休明けの東証は、上がるか下がるか以上に、「どこに資金が残るか」を見る相場になりそうです。
