ダブル・スコープ(6619)
2026年5月22日の終値は324円(+25円)となっています
ダブル・スコープは、売られ過ぎた電池部材株への見直し物色として買われています。NVIDIA決算を前にハイテク株やグロース株が動きにくい地合いでも、株価は崩れず、上値を切り上げてきました。赤字企業でありながら買いが続く点に、今回の相場の強さがあります。
この見直し相場の起点になったのが、3月に発表された本決算と今期見通しです。前期は欧州EV需要の停滞で大幅赤字となりましたが、会社側は2027年1月期に売上回復と赤字縮小を見込んでいます。市場はこの数字を、業績悪化の確認ではなく、最悪期通過を探る材料として受け止め始めました。そこから、株価は赤字縮小期待を手掛かりに先回りして買われる流れに入っています。
見直し物色の中核にあるのは、ESS向けの立ち上がり期待です。欧州EV需要の回復にはなお時間がかかる一方、米国ではデータセンター需要の増加を背景に、電力インフラや蓄電池関連への関心が強まっています。同社もESS電池向けの販売を今後の本格材料として位置づけており、市場は同社を単なるEV関連株ではなく、ESS・蓄電池関連として見直し始めています。
もう一つの支えがイオン交換膜事業です。POSCOグループ向けは想定通り推移している一方、その他の新規案件には遅れもあります。それでも、リチウム精製プラント向けという新しい収益機会が意識されており、セパレータ一本足からの脱却を示す材料であることに変わりはありません。一時的な思惑ではなく、事業構造の変化として見られている点が重要です。
この相場には、短期の値幅取りを狙う投機系ファンドの影が見えます。日足を見ると、材料に反応した個人投資家の買いだけで上がっているというより、押した場面で売り物が吸収され、すぐに高値方向へ戻されている印象です。弱い投資家が投げたところを拾われ、その後の切り返しで再び値幅を作る。今回の相場には、そうした投機性の高い様子が垣間見られます。
※ ダブル・スコープ(6619)の日足
バリュエーション面では、足元の赤字を見れば、まだ本格的な業績評価には入りにくい段階です。それでも株価が300円台まで戻してきた背景には、ESS向けの立ち上がりとIEM事業による将来の収益変化を先に織り込む動きがあります。PBRはなお低水準ですが、単純な割安評価だけで買われている相場ではありません。赤字縮小と事業再評価の可能性を試す局面に入っていると見るべきです。
日足では、300円前後を維持できるかが最初の分岐点です。25日線からの上方乖離は大きく、短期的な過熱感はあります。ただ、出来高を伴って335円を明確に抜けるなら、次は400円台回復を意識する流れに変わります。一方、290円を割り込み、さらに25日線近辺まで崩れる場合は、短期資金の回転が一巡した可能性を警戒する必要があります。
現状のダブル・スコープは、業績回復を確認してから素直に買われている銘柄ではありません。赤字の重さを残したまま、市場が次の材料を見に行き、投機系ファンドがそこに値幅取りの筋道を重ねている相場です。だからこそ、ここからは「なぜ上がったか」よりも、「まだ崩れない理由が残っているか」を見ていく必要があります。
300円台を保ち、335円を再び上抜く動きが出るなら、見直し物色は次の段階に進む可能性があります。逆に290円を割り込むようなら、短期資金が一度手を引いたサインとして警戒が必要です。焦点は、ここから再び高値を取りに行けるだけの出来高と買いの勢いが残っているかです。投機系ファンドの仕掛けが続くなら、ダブル・スコープは単なる反発では終わらず、もう一段の値幅取り相場へ進む余地があと見ています。
弊社の有料レポートでは、この銘柄を昨年2月~3月にかけて、180円付近で取り上げた経緯があります。当時から、値ごろ感に加えて水面下で動き出した投機系ファンドの動きに加え、短期資金が入りやすい特性に着目してきました。今後も弊社の有料レポートでは、こうしたテーマ性と需給妙味を備えた短期物色に適した値幅取り候補を、詳細な分析とともに取り上げていく予定です。

