日経平均7万円台はバブルか!?実需に支えられたAI相場の死角、バリュエーションはどこまで正当化できるのか

 

きょう(6月22日)の日経平均は72,353.96円で取引を終え、7万円台に乗せたあとも上値を伸ばしています。年初からの上昇率は約44%、直近1年では約89%に達しました。通常の強気相場という言葉だけでは片づけにくい上昇です。ここからは、何がこの相場を押し上げているのか、そして現在のバリュエーションがどこまで正当化できるのかを分けて見る必要があります。この上昇は力強い一方で、かなり特殊な相場だと見ています。

今回の日経平均7万円台の本質は、日本株そのものの全面的な再評価というより、世界的なAI投資拡大の中で日本企業が担う役割が評価されている動きと見るべきです。生成AIの普及を背景に、米国の巨大テック企業やクラウド企業は、データセンター、GPU、電力、通信インフラに巨額の投資を続けています。その流れが、半導体製造装置、電子部品、素材、電源、空調、ロボット関連など、日本企業が強みを持つ領域に実需として波及しています。この視点を踏まえないと、今の相場を正しく捉えることはできません。

 

足元で恩恵を受けている企業の業績は、単なる期待ではなく、実際の需要に支えられています。半導体装置や電子部品、素材関連の一角では、AI投資を背景に受注や利益見通しへの期待が高まっており、株価上昇にも一定の根拠があります。そのため、今の相場は1989年型の全面的な資産バブルとは性質が異なります。AI投資という現実の発注が企業収益を押し上げている点が、一見健全に見せています。

ただし、現在のバリュエーションには明確な歪みもあります。日経平均は値がさ株の影響を強く受ける指数です。半導体・AI関連の大型株が上昇すれば、指数全体も大きく押し上げられます。つまり、日経平均7万円台は、日本企業全体が均等に買われた結果ではありません。日経平均は「AI・半導体主導の指数の熱量」、TOPIXは「日本株全体の実態」を見る指標として使い分ける必要があります。

 

では、この高いバリュエーションは正当化できるのでしょうか。実際、6月22日時点の日経平均は指数ベースでPER26倍台、PBR3倍台に乗っており、かなり先の成長を織り込んだ水準です。短期的には、AI関連投資が続き、半導体・装置・部材企業の業績上方修正が続く限り、現在の株価水準には一定の説明がつきます。ただし、問題はその先です。日経平均の上昇は、AI投資が生み出した実需に支えられた業績相場ですが、その実需の大元であるAI投資そのものは、まだ将来の利益回収が確認されていない期待先行の投資でもあります。ここに、現在の相場の強さと危うさが同居しています。

その評価が最終的に正当化されるかは、2026年後半から2028年にかけて、巨額のAI投資がクラウド、生成AIサービス、企業向けAI導入などで利益回収につながるかにかかっています。半導体関連企業の足元の業績が本物であることと、AI投資全体が合理的だったと証明されることは別問題です。その規模は、過剰投資リスクを意識せざるを得ない水準にも膨らんでいます。AIを使ったサービスが企業の生産性向上や収益拡大に結びつき、クラウド企業や生成AI事業者が投資額に見合う利益を得られるなら、現在の高バリュエーションは後から正当化される可能性があります。リスクの本丸は、日本企業の足元業績ではなく、AI投資の回収可能性にあります。

 

逆に、AI利用は広がっても収益化が遅れれば、相場は期待を先取りしすぎたと見直されるでしょう。したがって、日経平均7万円台を単純にバブルと断じる必要はありません。一方で、相場全体を手放しで健全と見るのも危険です。現在の相場には、実需を伴うAI関連企業の業績拡大と、その背後にあるAI過剰投資リスクが同時に存在しています

今後は、半導体・装置関連の受注だけでなく、AIサービスやクラウド事業の利益率、投資回収の進捗を確認する局面に入ります。日経平均7万円台は「強い相場」であると同時に、「AI投資の答え合わせを待つ相場」でもあります。ここを見誤ると、指数の強さだけに引っ張られ、現在のバリュエーションに含まれるリスクを過小評価することになります。