Sansan(4443)
2026年8月17日の終値は2,106円(+118円)となっています
AI・半導体・データセンター関連に向かっていた資金は、6月中旬を境に勢いを失い、利益確定売りに押されました。代わって買われているのが、Sansan(4443)をはじめとする国内SaaS株です。収益性の改善を手がかりに、資金ローテーションの受け皿となってきました。
その株価は5月中旬から持ち直し、6月中旬以降に上昇基調を鮮明にしました。同じ時期にはラクス(3923)、インフォマート(2492)も水準を切り上げており、業態は異なるものの、いずれも企業活動のクラウド化で継続課金収入を積み上げるSaaS銘柄です。3銘柄がそろって上昇したことは、個別材料だけでなくSaaS株全体の見直しが働いたことを示唆しています。6月下旬には米国市場でも、AI・半導体株が売られる一方でソフトウェア株が買い戻される場面が見られ、同様の流れが日本にも波及したと考えられます。
ただし資金ローテーションはきっかけにすぎません。相場が二カ月近く続いてきた背景には、各社の収益性改善があります。Sansanの2026年5月期は売上高が前期比24.4%増、調整後営業利益は2倍を超えました。中核事業Bill Oneの収益性改善が利益拡大をけん引しており、2027年5月期の通期黒字化を見込んでいます。今期の調整後営業利益は前期比51~74%増を計画しており、売上拡大を優先する投資段階から、成長が利益に結び付く段階へと移りつつあります。
もっとも、足元の株価に割安感があるとは言いにくい状況です。8月14日終値2,106円は予想PERで26~32倍、PBRは13倍前後で、5月中旬からの上昇率は約6割に達し、Bill Oneの黒字化期待などグロース性への評価がすでに相応に織り込まれています。ただし、会社計画通りに増益が進めば予想PERは自然に低下していきます。今のSansanは割安さではなくグロース性で買われる銘柄であり、計画を上回る利益成長を示せるかどうかが、今後の上値余地を左右する局面にあります。
※ Sansan(4443)の日足
チャートでも中期の上昇基調は明確で、株価は主要移動平均線をすべて上回り、8月14日には直近高値を更新しました。ただしボリンジャーバンドやRSIは短期的な過熱を示しており、目先的には節目となる2,200円を上抜けられるかが当面の焦点となります。突破すれば2,500円台を意識した相場展開も視野に入る一方、上抜けに失敗した場合は25日線(1,880円前後)や1,700円付近を下値目途にした調整が進む可能性が出てきます。
インフォマートも料金改定などを背景に売上を上回る利益成長を示しており、ラクスも収益性の改善が進んでいます。これまでのSaaS株は売上成長を維持できるかどうかが評価の中心でしたが、現在はその成長がどれだけ利益に変わっているかが重視されています。
今回の動きは、AI・半導体関連相場の終わりを意味するわけではありません。好決算銘柄には引き続き資金が向かっており、変わったのは特定テーマへの一方向な資金集中が崩れ、業績の裏付けを持つ他分野にも資金が広がり始めた点です。Sansanをはじめとする国内SaaS株の上昇は、単なる出遅れ修正ではなく、6月中旬以降の資金ローテーションを起点に各社の収益構造の変化が評価された結果といえます。すでに高値圏にあるSansanにとって、今後はSaaS株全体への資金流入よりも、期待に見合う利益成長を示し続けられるかが焦点になります。
「弊社の有料レポートでは、この銘柄を6月初旬、株価1,500円台の段階で取り上げており、Bill Oneの収益性改善とSaaS株への資金ローテーションの両面に着目し続けています。今後も弊社の有料レポートでは、こうした収益構造の変化を伴う値幅取り候補を、詳細な分析とともに取り上げていく予定です。」


