先週末の記事では、株式市場に急落の足音が近づいていると指摘しました。その警戒が現実のものとなり、先週の日経平均は2,631円安、週間で4.03%下落しました。22日には1,713円安の急落に見舞われ、23日も一時1,400円を超える下げとなりました。背景にあるAI投資への疑念は解消されるどころか、資金調達という現実的な問題へと深まっています。
主要株価指数の週間騰落
10月23日終値時点(前週末比)
| 指数 | 週間騰落 | 状況 |
|---|---|---|
| 日経平均 | -4.03% | 半導体主力株が重荷 |
| TOPIX | -2.46% | 下落が他業種にも波及 |
| 米SOX指数 | -3.21% | 半導体株への売り |
| 米NASDAQ100 | -0.79% | 大型テック株が軟調 |
| 米S&P500 | -0.47% | 下落は比較的限定的 |
| NYダウ | +0.41% | 週間では上昇 |
今回の下落で重要なのは、AI投資に対する市場の評価が変わり始めたことです。これまではデータセンターの建設拡大や半導体需要の増加が、関連企業の成長期待を押し上げてきました。しかし現在は、巨額の設備投資をどのように賄い、いつ利益として回収できるのかに投資家の関心が移っています。
象徴的なのが、米AIクラウド企業コアウィーブの資金調達不安です。これに加え、21日に決算を発表したメタは、2026年の設備投資計画を1,350億~1,450億ドルとし、第3四半期のフリーキャッシュフローは21億ドルのマイナスとなりました。AI需要が旺盛でも、巨額の設備投資が手元資金や将来の投資回収にどこまで影響するのか。市場は、資金力のある巨大IT企業に対しても厳しい目を向け始めています。
こうした懸念は半導体株にも波及し、22日の米SOX指数は約6.7%急落しました。日本でもアドバンテストや東京エレクトロンなどが売られ、日経平均を大きく押し下げています。米国ではNYダウが週間で上昇した一方、日本ではTOPIXも下落しており、売り圧力の広がり方にも違いが見られます。
また、銀行株まで大きく売られている点も気になります。前回は金利上昇がAI関連企業の資金調達を圧迫することを警戒しましたが、足元では逆の動きも生じています。株式市場でリスク回避が強まると、相対的に安全な国債へ資金が向かいやすくなります。債券は買われるほど価格が上がり、利回りは低下する仕組みです。今回もリスク回避による国債買いが金利低下を促し、国内では日銀の追加利上げ観測の後退も重なりました。金利上昇による収益改善を期待されてきた銀行株には、こうした金利見通しの変化が逆風となっています。
1週間前は、金利上昇がAI関連企業の資金調達を圧迫することへの警戒が中心でした。しかし現在は、AI投資への不安が株式市場のリスク回避を促し、金利低下を通じて銀行株にも売りが広がっています。市場の関心は、金利そのものからAI投資を支える資金の持続性へと移りつつあります。
もっとも、23日の東京市場は一時1,400円を超える下げから急速に持ち直しました。その後の米国市場でも半導体株が小幅に反発し、売りの勢いはいったん和らいでいます。売りが売りを呼ぶ全面的な投げ売りには、まだ至っていないと考えています。
当面は10~20%級の調整に発展する可能性を引き続き警戒しています。ただし、長期的な弱気相場への転換を予想しているわけではありません。AI需要そのものが失われたわけでもなく、今後の米巨大IT企業の決算が相場の転機になる可能性があります。市場が問うているのはAIの将来性ではなく、巨額投資を支える資金の持続性です。この不安がどこまで広がるかが、目先の相場を左右するとみています。

