指数以上に深刻な中小型株の下落 その裏で短期資金が集中するのはイベントドリブン型の物色銘柄に限定

 

先週末の記事では、相場全体のリスク回避によって、材料性や好業績を評価されてきた中小型株まで売られる可能性を指摘しました。実際、先週のグロース250指数は3.15%下落し、東証グロース市場指数も3.35%安となりました。警戒していた需給悪化が表面化しています。

 

中小型株関連指数の週間騰落
10月23日終値時点(前週末比)

指数 週間騰落 状況
日経平均 -4.03% 主力株中心に大幅安
TOPIX -2.46% 市場全体も下落
東証グロース市場指数 -3.35% 新興株全体に売り
東証グロース250 -3.15% 成長株の調整継続
グロース市場Core -4.09% 主力成長株も弱い
米ラッセル2000 +2.00% 米小型株は週間反発

 

実際の売買内容を見ると、指数以上に深刻な状況が浮かび上がります。 悪化する中小型株の中でも、特に東証グロース市場では、指数以上に個別株の下落が深刻です。22日の同市場では385銘柄が下落し、翌23日も386銘柄が値下がりしました。23日はグロース250指数が小幅反発したにもかかわらず、値上がりは164銘柄にとどまり、約7割が下落しています。一部の時価総額上位銘柄が指数を支える一方、多くの個別株では売り圧力が続いているのです。

米国ではAI関連主力株が売られる一方、小型株を代表するラッセル2000指数が週間で2.00%上昇しました。対照的に、日本のグロース市場では下落が続き、個別株の実態は指数以上に弱い状態です。両指数は構成銘柄の性格が異なりますが、日米の小型株市場で地合いに大きな差が生じていることがわかります。

 

もっとも、日本の中小型株が一様に売られているわけではありません。22日にはサイバーセキュリティ関連株が急騰し、サイバートラストやS&J、サイバーセキュリティクラウドなどが、取引時間中に一時20%を超える上昇を見せました。PHPの脆弱性や企業への不正アクセスが材料視され、AI・半導体関連株が急落する裏で、一部の材料株に短期資金が集中しました。

ところが翌23日には、アクリートが18.9%安、テリロジーホールディングスが15.3%安となるなど、関連銘柄の一角が急反落しました。強い材料には買いが殺到するものの、利益確定の動きも早く、上昇が長続きしない。 現在の中小型株市場の難しさが表れています。

相場全体が軟調な中でも、サイバーセキュリティ関連のように、時事材料を手掛かりとした短期テーマ株へは短期資金が向かうものの、こうした物色は材料への関心が薄れると資金が急速に引き揚げられやすく、相場の持続性には疑問が残ります。

 

こうした値動きからは、短期筋が幅広い銘柄に資金を振り向けるより、目先の材料性が強い銘柄に集中し、短期間で値幅を取ろうとする姿勢がうかがえます。相場全体の先行きが不透明なため、長く保有するより素早い資金回収を優先しているのでしょう。

 

ただ、地合いが悪くても資金を呼び込める材料があることは、今後の物色を考えるうえで見逃せません。問題は、そうした買いが周辺銘柄に広がらず、局地的な動きにとどまっていることです。

今後は決算発表が本格化する中、業績改善や新たな成長材料を持つ銘柄への選別が強まると考えています。ただし、急落した銘柄を単に割安になったと判断するのは危険です。需給が崩れた銘柄は、業績が良くても株価の回復に時間を要することがあります。

 

現在の中小型株市場は、資金が本格的に戻り始めた局面ではなく、限られた資金が狭い範囲で激しく動いている局面です。 相場全体の下落が落ち着けば、売られすぎた好業績株や材料株に再び資金が向かう可能性は十分あります。しかし今は、指数の下げ渋りを市場全体の回復と捉えず、資金の集中と撤退の速さを意識しながら、次の上昇候補を選別したいと考えています。