日経平均・グロース指数は続落もTOPIXは9連騰、明暗分かれた指数が示す物色の転換

個別株投資では、景気や経済、政治、為替、金融政策など、マーケット全体の動向を把握することが不可欠です。これらの要因は相互に影響し合い、投資家心理や短期マネーの流れに影響を与えています。投資機会を活かすためには、こうした外部環境や市場心理をしっかりと理解することが、物色トレンドを見極めるうえで非常に重要です。

 

 

きょう(9月1日)の東京株式市場は、日経平均が続落する一方でTOPIXは9営業日続伸するという、対照的な展開になりました。同じ東京市場でこれほど方向が分かれたのは、先週末を境に物色の中身がそっくり入れ替わったためです。

きっかけは週末のジャクソンホールです。米国の利上げ警戒が改めて強まったところに、中東情勢の悪化による原油高が重なり、リスクを取って成長株を買う勢いが後退しました。AI・半導体株やグロース株への買いは鈍る一方、電力、商社、鉱業、石油など、金利高や原油高を追い風にしやすい大型バリュー株へ資金が向かっています。

 

振り返れば、変調の兆しは先週のエヌビディア決算後からすでにありました。好決算にもかかわらずAI関連株は伸び悩み、米国株高を受けた週末の反発も長続きしませんでした。AI需要の強さそのものは確認できても、それだけを手掛かりに半導体株を買い進む勢いは、その時点ですでに鈍り始めていたのです。週明け31日には米金利上昇と原油高への警戒から日経平均が朝方に急落し、その後は買い戻されたものの、相場の中身は先週までとは明らかに違います。1日も東京エレクトロンなど指数寄与度の高い半導体株が売られ、日経平均は続落しました。

とはいえ、日本株全体が崩れているわけではありません。売られているのは金利上昇の影響を受けやすく、成長期待を先取りして買われてきた銘柄であり、代わって収益や資産価値を評価しやすい大型バリュー株に買いが向かっています。日経平均だけを見れば地合い悪化に映りますが、実際には資金が市場から抜けたのではなく、相場の主役が成長株から金利高に強いバリュー株へ移ったと捉えるべきでしょう。

 

東証グロース市場では、この揺れ戻しがより鮮明に表れています。グロース250指数は8月28日に大きく上昇し、幅広い銘柄に買いが広がりましたが、その反動に加えて国内外の長期金利上昇も重なり、31日以降は利益確定売りが続いています。直前まで人気を集めていた主力グロース株にも、容赦なく利益確定売りが広がっている状況です。個人投資家や短期資金そのものが消えたわけではありませんが、先週までのように市場全体へ買いが広がる状況ではなくなりました。材料の鮮度が落ちればすぐに売られ、資金はためらわず次の対象へ移っていきます。広く買えば値幅が取れる相場から、限られた材料株だけを短期で回転させる、より選別的な物色へと変わりつつあるのです。

 

当面は、米金利と原油価格が高止まりする間、銀行や商社などTOPIX型の大型バリュー株が優位を保ちやすいとみています。半導体株の影響を受けやすい日経平均は上値が重くなりやすく、日経平均とTOPIXの温度差もしばらく続きそうです。グロース市場も下落相場入りというより、8月後半の急上昇を整理しながら次の材料株を選び直している調整局面と見た方が実態に近いでしょう。市場全体へ再び買いが広がるには、米金利への警戒が和らぐか、主力グロース株に新たな業績材料が出てくる必要がありそうです。今後は指数の上げ下げだけでなく、資金がどの業種から離れ、どこへ向かっているのかを見極めることが、これまで以上に問われる相場になっています。