急落マーケット!来週の見通し

週末のマーケット急落はやや過剰な印象があるものの、南アフリカで新型コロナウィルスの新しい変異ウイルス(オミクロン株)に対して現在「わかっていること」は少なく、この点も市場の恐怖心を増幅させた背景にあると考えております。この変異種の感染力や重症度、既存ワクチンの効力や治療法への影響も不明とされており、現時点ではどの程度世界的に感染が拡大しているかも不明です。

 

一方、「わかっていること」は、

・これまでの新型コロナウィルス流行の中で、最も分岐した変異株であること

・このため、ワクチンの効果を低下させ、再感染のリスクを高める可能性が懸念されている

・WHOが警戒度最高の「VOC」に指定

・南アフリカとこれに隣接するボツワナ、イスラエル、香港、ベルギーで感染例が報告されており、いずれもアフリカからの渡航者であること

・今朝(28日)になって、イギリスとドイツでも初めて感染が確認されたと報じられた

・現在のところ、オミクロン株による感染者において特に重症度が高くなっているという報告はない

・南アフリカからの報告によると、オミクロン株の感染者で特に特徴的な症状というものはなく、無症状の人もいるとのこと

・南アフリカの一部地域では感染力が強いデルタ株を凌駕しており、オミクロン株に置き替わっている

・米製薬大手ファイザー社によると、現在既存ワクチンの有効性を検証中で、今後2週間で効果の有無を判断するデータが得られる見通と説明

・ワクチンの改良が必要な場合は6週間以内にワクチンの内容などを再設計し、早期の生産を目指す

・従来のワクチンが効かない場合は、対応するワクチンの供給を100日以内に始める方針

などです。

 

今後の金融市場は、昨年3月のコロナショック時と類似して、まだ「わからないこと」が徐々に解明されていく過程で、当初はネガティブな材料の方が反応され易い状況(パニック)が続く可能性があります。

投資家は「不透明感」を最も嫌いますので、この新しい変異ウイルス(オミクロン株)の解明が進むにつれ、どのような公衆衛生上の懸念があるか、各国政府の対応などが「ぼんやりと」見えてくるまでは乱高下し易い展開が続きそうです。

オミクロン株について、今後わかってくる内容や感染状況次第では、今後の景気見通しが大きく修正される可能性があり、株式市場にとっては大きなリスクと言えます。

 

ただ、昨年3月のコロナショック時との違いとしては、現状は世界的に検査体制が整っており、感染の実態把握が早いことや、世界的に普及したDNAワクチンは、新型ワクチンへの対応が短期間で可能なこと、この当時よりは新型コロナウィルスに対する医療体制が整備されていることなどが挙げられます。

今の株式市場は、安易に買いとは言えない状況ですが、一方でボラティリティが拡大する局面を「チャンス」と捉えるか、「ピンチ」と捉えて「ただ耐え忍ぶ」かで、今後の投資パフォーマンスに大きな差が出る場面でもあると考えております。これは、昨年3月のコロナショック時を振り返っても、同じことが言えます。