日本ケミコン(6997)
2026年5月25日の終値は4,065円(+700円)となっています
日本ケミコンの株価は、4月初旬から相場のフェーズが大きく変わっています。静かに下値を切り上げていた相場は、5月に入ってから一段と勢いを増し、きょう(5月25日)にはストップ高まで買われる展開となりました。今回の動きは、一つの材料だけで急に始まった相場ではありません。AIサーバー向け需要の実績化と拡大期待、業績回復の見通し、そして上値を抑えていた懸念の後退が重なり、投資家の評価が段階的に切り上がってきた流れと言えます。
同社はアルミ電解コンデンサを主力とする電子部品メーカーで、車載、産業機器、ICT向けに展開しています。足元で市場が強く意識しているのは、AIサーバーやデータセンター向け需要です。これは単なるテーマ物色ではなく、データセンター建設や周辺設備投資を伴う実需として、同社の売上・利益計画を支える材料になっています。従来は事業再建色の強い銘柄として見られやすかったものの、ここにきて成長需要を取り込む電子部品株として、見方が変わり始めています。
4月初旬からの日足を見ると、AIサーバー向け需要という材料を手がかりに、投機筋が相場を段階的に作ってきた流れが見えます。1,500円台で出来高を増やし、投機筋の存在感を示しています。その後は利食いをこなしながら下値を切り上げ、5月25日に4,000円台へ持ち上げるまで、押し目待ちの投資家を置き去りにするような値幅取り相場が続きました。
業績面では、2026年3月期の営業利益は33億円にとどまりました。ただ、市場が見ているのは過去実績ではなく、2027年3月期の回復シナリオです。会社側は売上高1,600億円、営業利益80億円を見込んでおり、AIサーバー向け大形アルミ電解コンデンサやハイブリッドコンデンサの販売拡大が、その計画を支える実需として意識されます。
もう一つ見逃せないのが、種類株式や希薄化をめぐる不透明感の後退です。これまで同社株は、将来的な株式価値の希薄化が上値を抑える要因として意識されていました。その警戒が和らいだことで、投資家は業績回復と成長需要を評価しやすくなっています。
※ 日本ケミコン(6997)の日足
バリュエーション面では、4,065円まで上昇し、予想PERも24倍台まで切り上がったことで、今期の業績回復期待はかなり織り込まれています。純利益40億円計画を前提にしても、ここからは単純な割安修正ではなく、AIサーバー向け需要が利益率改善にどこまで直結するかが問われる段階です。市場はすでに、同社を再建途上の電子部品株ではなく、AIサーバー需要を取り込む高付加価値部品メーカーとして評価し始めています。
日足チャートでは、4月初旬からの上昇トレンドが明確です。5月前半に3,200円台まで買われた後、3,000円前後まで押しましたが、売り崩されず再び高値を更新しました。25日は出来高を伴って4,065円まで上昇しており、短期資金が改めて上方向へ動いた形です。一方で、移動平均線からの上方乖離は大きく、過熱感も残ります。
目先は4,000円台を維持できるかが確認点です。高値圏で売りをこなせれば、需給主導で上値を試す余地はあります。一方、3,600円台を明確に割り込むと、短期資金の勢いは鈍りやすくなります。さらに3,200円近辺を下回る場合は、4月初旬から続いた上昇相場を見直す必要があります。
日本ケミコンは、AIサーバー向け需要を軸に、業績回復と財務面の不透明感後退が重なり、再評価が進んできた銘柄です。ただ、株価はすでに大きく水準を切り上げており、ここからは期待だけで追いかける場面ではありません。4月から続く上昇トレンドを維持できるか、高値圏で売りをこなしながら出来高を保てるかを見極めながら、上昇継続を確認してついていく局面と見ています。
弊社の有料レポートでは、日本ケミコンを3月下旬に1,470円付近で取り上げており、AIサーバー向け需要の広がりと業績回復期待、そして投機筋が関与しやすい値動きの軽さに着目してきました。今回の上昇は、その後の再評価が株価に表れた動きと見ることができます。今後も弊社の有料レポートでは、こうした実需を伴うテーマ性と投機性が重なった短期物色に適した値幅取り候補を、詳細な分析とともに取り上げていく予定です。


